原題は『Widows』
『ロスト・マネー』という邦題だけ見るとなんとなく金融業界もの、マネー・ゲームっぽいジャンルを想像しがちだけど、一応クライムサスペンスなので当初の邦題“妻たちの落とし前”の方がまだマシかなぁ。
最後はウーマンパワーとか女性たちの自立の物語だとは思うのでそれも難しいところか。
シカゴ市長選に出馬している黒人候補の選挙資金を奪った強盗団の男達が罠に嵌められ命を落としたため、彼らの妻である“未亡人”たちが脅され亡き夫たちが画策していた現金強奪の実行を目論む。
ところで妻たちが「犯罪を成功させるためにはドライバーが必要、探さなきゃ」という話題になった時、どこの誰よりもワイルドでスピード狂のドライバーがそこにいますが…と突っ込まずにいられなかった。
メインキャストの俳優勢は好きだし演技もとても良かったのに、どうしてこうピントがボケボケな仕上がりになったのだろう。黒人、女性、移民差別の要素を盛り込みつつもどれもこれもが中途半端で、展開も無理がある。この手の作品は笑って許せる系ではないので緻密な脚本が肝なはずなのに、結局何を描きたかったのかがいまいち伝わらず。
衣装やインテリアに白と黒を印象的に取り入れたりと意味深な演出は端々にあったと思うのだけど、雰囲気的なものってだけで別に意味はなかったのかな。
ダニエル・カルーヤの狂気的な演技やエリザベス・デビッキの麗しさを堪能できたことと、唐突にチームに引き入れられるシンシア・エリヴォの素晴らしいランニングスタイル、体幹能力が見れたこと、モフモフわんこのオリヴィアが無事だったことは良かった。