フランスはパリかパリ以外だとありありと分かる片田舎で息づく人々の生活。ドキュメンタリータッチな人々の土臭い仕事ぶりや顔つきは『ダゲール街の人々』(1975)を彷彿とさせる…。真っ直ぐにカメラを見つめ、フィクションとノンフィクションの境やドキュメントとは一体何なのか、映画の曖昧さを意識せずにはいられない。女のホームレスは過酷であるとカラックスの『ポンヌフの恋人』(1991)で言っていたのを思い出す。フレームの中でなだらかにパンしていくカメラは残酷さや無関係の景色やモナですら平等に捉えていく。漂流して行き着く先の孤独をどうすればよかったのでしょうか。…どうしようもない。