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冬の旅のsonozyのレビュー・感想・評価

冬の旅(1985年製作の映画)
3.8
1985年 アニエス・ヴァルダ脚本/監督
原題: Sans toit ni loi(家もなく法もなく)、英題: Vagabond(放浪者)
※日本ではビデオ発売時に『さすらう女』と改題されたようです。

ヴェネチア国際映画祭 グランプリ(金獅子賞)、主役のサンドリーヌ・ボネールがセザール賞 主演女優賞 他。

冬の南仏。ブドウ畑の片隅で若い女性の死体が発見される。という導入。
その18歳のモナ(サンドリーヌ・ボネール)の放浪の日々が、彼女と出会った人たちの証言と共に描かれるというストーリー。

モナは冬の海で泳ぎ、無一文のバックパック&ヒッチハイクで、思い立ったところでテントを張り、食事や部屋を提供してもらったりもする。
たまに日銭を稼いだり、盲目の老人の家のお手伝いをやらせてもらう事になったりするが、彼女の思う"自由"きままに、男、酒、ハッパ...ロクに風呂も入らず、衣服も汚れ、見た目も浮浪者となっていく。
それでも放浪の日々を続けるモナは、体力の消耗も限界となり、転げ落ちたブドウ畑でそのまま息絶えてしまう。。

"希望"も"絶望"も持たない/感じないで死んでいくことがモナの"自由"だったのでしょうか。

アニエス・ヴァルダはこの作品が「自由(使われすぎ、弄ばれすぎた哀れな言葉)についての掘り下げとなってほしい」と語ったようです。

『愛の記念に』の16歳での鮮烈なデビューから2年後、モナへの共感は出来ませんが、18歳のサンドリーヌ・ボネールの汚れていく演技が沁みました。
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