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恋とさよならとハワイのDDDのネタバレレビュー・内容・結末

恋とさよならとハワイ(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

別れた恋人と、未だに同棲生活を続けている2人の物語。
朝のウォーキングを始めようとイサムがリンコを起こす冒頭のシーンはとても自然で、まさか2人が別れていたとは思えなかった。
それからも2人の様子はとても自然。
イサムの誕生日にリンコが食事を作る様子も自然なのだが、イサムから「つきあってる時から(料理)がんばってくれたらよかったのに」とトゲの残る発言があり、決してこのままでいかないだろうことが予見される。

それは、イサムに思いを寄せる後輩が現れたことで現実化する。この一連が、人がひとところには留まっていられないものであることを感じさせた。
この関係性は、リンコがウォーキングの中で突如「今から競争、私が勝ったらやり直そう」と言い出し、そこにイサムが勝ってしまうことで終了となる。
この競争とその結末は、とても切ない。やり直そうというボールをイサムに投げて、断るというお返しを貰ったのだから。それが、2人が何度も繰り返してきたであろうウォーキングの中で行われるのが実に巧い。

タイトルのハワイ要素が、リンコが友達のハワイ挙式に誘われていて、一緒に出席する友達と余興で披露するフラダンス練習をするシーンなどに現れている。
タイトルに出すほど物語へ直接的に関わってくるわけではないようにも思うが、リンコの生活を画に現すために大切であるし、フラダンスを踊る3人の肉体が感じられる画も、登場人物の実在感を高める効果を感じた。

主人公2人だけではなく、登場人物がみな観ている私の地続きに生きていそうだし、彼らの感情が細やかに伝わってきた。
秀作であり、大好きな作品である。
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