あまのかぐや

ブリムストーンのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

ブリムストーン(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

年の離れた夫と、継子の長男、そして実子の少女と暮らしている口のきけない助産婦リズ(ダコタ・ファニング)。そこにナゾの牧師(ガイ・ピアース)が現れます。
赤子の頭が大きくて産めない。妊婦か赤子、どちらかの命を選ばなければならないという局面でちゃんと助産婦としての仕事をしたリズなのですが、逆恨みして赤子の父が襲撃してきます。

物語はここからはじまる4部構成です

第1章 啓示 APOCALYPSE →「現在」
第2章 脱出 EXODUS  →「過去」
第3章 起源 GENESIS →「その過去」
第4章 報復 RETRIBUTION →「1の続き」

このサブタイトルをみると「おお。バイオハザード…」なんて思ってしまいます。章の終わりに、真っ暗な暗転があり、ここで切り替えて下さい、と明確にわかる。

ダコタ・ファニング演じる開拓時代を生きる女の戦いの記録、一代記でした。主人公リズの少女時代はエミリア・ジョーンズという子役が演じていますが、ほんとうに辛い、こどもにこんな役を…と思ってしまうぐらい辛い。しかしこの子の演技が迫真で、この作品の肝となっています。

148分という長尺の映画ですが、ダコタとエミリアがリレーで演じる主人公の過去が徐々に明かされ、その流転に人生をさかのぼる形でみせる「ことの真相」、150分ちかい長さをまったく感じませんでした。ただ時間の流れに沿ってだらだらと見せる150分だったら、そうはいかなかっただろう、と思います。

1章での発端の事件、夫の死、2章の娼館の生活(名前を変えた理由がここに)3章での生家での母と父とリズ=ジョアナの生活。そして4章で描かれる、彼らが最終的につけた落としまえ。

すべてが主人公にとって理不尽で残酷。救いの手や愛する人の死にざまが、たぶんわざとだと思うけど、酷すぎる。時代がかった重厚の絵柄の中、胎児や羊、人間、もろもろの死に方、ちょっとどう表現したらよいか憚られる性的な虐待など、残虐を極めた描写が随所にあって、思わず目を背けたくなります。女が生きるとはそういう時代だった、厳格な西洋の宗教とはそういうものか、と納得しようとしましたが、無理。宗教って…信仰っていったい…。

ガイ・ピアースの狂気の演技が拍車をかけ、少女時代役のエミリアちゃんも、かたや、追う側のガイ・ピアースも、ほんま役者って業が深い商売だわ、と頭痛までしてきました。

ちょっと、再見は、しばらく無理。
大人になったダコタ・ファニングがとても美しく、悲しさも強さもたくましさも、どこをとっても素晴らしい演技を見せるので「良い映画」といいたいところですが、こういう内容はちょっと…。

ちなみに、タイトルの「Brimstone」とは聖書の黙示録の中の「地獄」という意味だそうです。
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