KnightsofOdessa

笑う男のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

笑う男(1928年製作の映画)
4.0
[ジョーカーの原点とも言われるらしい] 80点

17世紀イギリス、ジェームズ二世によって貴族だった父親を殺され、父の罪として"笑顔"を残された幼い息子グウィンプレイン。いや、ジョーカーやん、という思いは正しいようで、確かに多くの文献でその類似性は指摘されているが、顔が長く歯が異様に多いコンラート・ファイトの見せる悲しい笑顔のビジュアルは、これまで銀幕に登場したどのジョーカーよりも強烈だ。そして、道化師になった彼は15年後、一座とともに旧領地へと戻ってくる。王は既に代わっていた。当たり前のように彼は跡継ぎ問題に巻き込まれるが、彼には昔助けた盲目の少女デアという想い人がいた。という『悪魔の毒々モンスター』みたいな設定から大体の筋は見えてくるが、強烈なビジュアルと復讐ではなく愛に生きるという希望的な帰結以外は全体的に満遍なく過剰で、少々間延びしている感じは否めない。

設定を聞く限りブラウニング&チェイニーの怪奇映画っぽいが、チェイニーだと悪役感が強くなってしまうと、顔の大写しには不向きなので、やはりファイト以外に考えられない。でも、彼らなら70分くらいで潔くまとめてくれたとは思う。
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