牛猫

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめの牛猫のレビュー・感想・評価

3.7
昏睡状態に陥った元恋人の両親との衝突を経て心を通わせるさまを描いた話。

副題がこの上なく邪魔。

主演を務めたクメイルナンジアニの半自伝的な作品らしい。
ヒューグラント風の卒アル写真や「ビートルジュース」というあだ名だったり、着信音がXファイルだったり、映画や俳優ネタが随所に散りばめられていて楽しい。
ライブでやってたパキスタンの歴史の授業みたいなやつ、普通に興味深かったし、もっとじっくり見たかった。
途中のトイレのくだりは微笑ましくてかわいかった。

なかなか理解し難いパキスタンの伝統や風習をコミカルに見せることによって少し身近に感じることができた。
中盤からガラッとテイストが変わって闘病ものの色も入ってくるけど、主演のクメイルと互いの両親との掛け合いが秀逸で重くならずに見られる。

物語の肝となるエミリーの両親との和解も自然で優しくて心が温まった。いかにもイスラムらしい髭を貯えた兄や芸人仲間もみんな温かい。母親役のホリーハンター久しぶりに見たけどファンキーでカッコよかった。父親も頼りないけど人間味があってクメイルと気が合いそう。スベったギャグの解説を自らするのがかわいい。
クメイルの父親もシリアスなシーンの中でもちょいちょい抜け感を出してきて気になる。「大学院で時の翁と呼ばれてた」は笑った。

畳みかけるようなラストとエンドロールにはベタだけど目頭が熱くなった。
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