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ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめのKUBOのレビュー・感想・評価

3.8
2月6本目の試写会は「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」。

スタートは5スクリーンから始まった低予算映画が、口コミで全米2600スクリーンにまで拡がり、ついにはアカデミー賞脚本賞にノミネートされた実話に基づく作品。

主人公はパキスタンからの移民クメイル。シカゴで売れないコメディアンとしてがんばっている。ある日、ライブを見に来てくれていたエミリーと付き合うようになるが、2人の仲をパキスタンならではの「しきたり」が邪魔をする。

私もこの映画で初めて知ったが、アメリカに移住しても、パキスタン移民同士のコミュニティ内での「お見合い」でしか結婚してはならない、と言うのだ!

パキスタンのしきたりが2人の仲を裂いた直後、エミリーが倒れ、原因不明の病気で昏睡状態に陥ってしまう。駆けつけたエミリーの母親に叱責され、病室を去るクメイル。果たして2人の愛の行方は…?

こう書くと、アメリカ版の「8年越しの花嫁」みたいだけど(こっちはたかだか数週間の話だけど)、どうしてユーモアもあって、笑えるところもいっぱいあるのに、泣かせよう泣かせようとしている映画より泣けるんだろう?

「パキスタン」ネタ、なぜかクメイルの好きな「X-ファイル」ネタ、泣ける映画のくせによく笑える。

ライブ中に「ISIS」とからかわれるなど、移民に対する差別や偏見にも目を向けている。

キャストはほとんど知らない俳優ばかりだけれど、エミリー役のゾーイ・カザンがかわいい! そして、そして、クメイル役はなんと本人のクメイル・ナンジアニが演じている! で、この2人の自然な感じが本当に楽しい! それにしても、自分の体験を演技として再現するって、どういう感じなんだろう?

エンドロールには本人映像が出てくるが、実際のエミリーもマジきれい!

アカデミー賞ノミネートも納得の素晴らしい脚本! 粋で爽やかなラストシーンに、微笑みながら涙を流すこと必至! 余韻もとっても温かく、幸せな気分で劇場から帰れます。良い作品に出会えた日は、幸せだ。
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