MasaichiYaguchi

シネマ歌舞伎 京鹿子娘五人道成寺/二人椀久のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
「シネマ歌舞伎」シリーズ第30弾は歌舞伎舞踊の人気演目の一つ「京鹿子娘道成寺」を取り上げ、通常は1人で踊るところを坂東玉三郎さんを中心に、中村勘九郎さん、中村七之助さん、中村梅枝さん、中村児太郎さんという5人で美しい白拍子の花子で演じ、踊り分ける豪華絢爛版。
「京鹿子娘道成寺」は道成寺を舞台にした安珍・清姫の後日譚で、この寺の鐘と清姫の化身の大蛇との因縁話を描いたものだが、この演目はその内容や展開よりも、その構成の大半を占める娘踊りを楽しむのが主眼となっている。
だから舞に華麗さと品を求めらるので高い芸と技術、そして1時間を近く踊りきる体力が求められる。
この「シネマ歌舞伎」では舞台を映し出すだけでなく、出演者たちによるインタビューや戦場のような舞台裏の様子も紹介して、女形舞踊の集大成とも最高峰とも呼ばれる演目を浮き彫りにしていく。
この演目が始まる前と終わった後に坂東玉三郎さんのインタビューがあるが、その言葉の数々は全てを集約しているように思える。
それは、この演目や花子のこと、更に芸事やその世界におけるベテランと若手、その在り方を的確に表現していて金言のように響く。
尚本作では、恋に狂った椀久を舞で描いた「二人椀久」も併映されています。