ハッピーアイスクリーム

シドニー・ホールの失踪のハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

シドニー・ホールの失踪(2017年製作の映画)
4.5
若くして人気作家となるも、突如失踪した男の数奇な人生と成功の裏に隠された真相を描いたドラマ。

自分のした事が、誰かの運命を変えてしまう。

ローガン・ラーマンが主演と製作総指揮を務めた作品。共演のエル・ファニングの無垢な透明感がハンパない。

天才作家の甘酸っぱい学生時代。
作家として一躍注目を浴びた日々。
そしてある秘密を抱えて失踪した現在。

この3つの時間軸が交錯する主人公シドニー・ホールの壮絶な年代記と、クライマックスに向けて徐々に明らかになる事の顛末が秀逸。
観終わった後の余韻が非常に大きく心に残りました。

残酷にも現実に消えていく命。
あの時道を渡らなかったら。
彼に協力しなかったら。
小説なんか書かなかったら。
僕ならきっと後悔に縛られ続けると思う。

シドニーもまた秘密を抱えたその日にずっと縛られていたから、少しずつズレていってしまったのかもしれない。
まるで未来へと進んでいく周囲に置いて行かれるように。

彼女の後を追わなかったのは、約束を果たしたかったからだと僕は思います。
それこそ過去の美しい思い出に縛られているのだから切ない。

“この先 何が起きても 君のせいじゃない”

“僕が綴る言葉が 誰かの役に立つことを
祈るだけです”

“大事なのはきっかけ”

“もしも明日がこんなに遠くなかったら”

使う偽名、犬の名前。
誰もが惹かれる才能とは裏腹に彼はあまりにも小さな自分の世界に生きてしまった。

とても感傷的で独りよがりかもしれないけど、誰かにとっての救いになるような作品。

劇中で使われるボブ・ディランの『明日は遠く』が心に沁みる映画でした。