【この恋、絶滅すべきでしょうか?】
「とどきますか、とどきません。」
絶妙な一文から始まる原作。映画には出てこないフレーズだけど、観終わって、思い返して、これが浮かんだ。私の中のヨシカがこうやって言った。
大九監督はQ&Aの中で「書きながら、私ヨシカじゃないかな?ってなってきた」「万人うけはしないよねって。だからヨシカっぽい人に向けた映画」って言っていた。
一定数の女の中にはヨシカがいる。行動が衝動に任せたままとまらない時、案外頭は冷静だ。悪口は口をついて一気に流れ出るし、関係は曖昧でも違う自分がそこにいるだけでうまくやれる。誰がどう考えても引くような行動に血眼になって次第に楽しくなってしまう。案外そんなとき俯瞰して「やばいなあ、わたし」なんて思ってる。
なのに、そんな姿誰にも見られたくないんだからしょうもない。でも、それをスクリーンで見せてくれたから、どうしようもない叫びを描いてくれたから、いつかの私たちを救ってくれる。「アズミハルコは行方不明」ふたたび、わたしにとっては傑作な、女の映画。
松岡茉優、最高。観客賞うれしい。