Yoko

勝手にふるえてろのYokoのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.3
花火会社の経理部に勤めている”ヨシカ”は、中学の頃からの想い人”イチ”と十年近く妄想恋愛中。
同僚に誘われ会社の飲み会に嫌々行くことになるが、その最中、同じ会社の営業の男性との距離が近付き…。


多くのアンチ邦画の人々が不満をもらすであろう現実離れした「劇」的な面、ともすればやらせ臭くてうんざりしてしまうような部分を逆手にとった名作。
とてもとても痛快!
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』など目にならないくらいの痛快さ。
思わぬところで強く心理に働きかけていたのか、山頂からヤッホー!と絶叫した時に味わえる清々しさが心を充たしストレスが解消されていた。

何より、主演松岡茉優の口上の上手さたるや。
褒めすぎかもしれないが、平成の高峰秀子を名乗ることが出来るのはこの人なのかもしれない。
ある時は「話したい!」という気持ち一杯の「脳内」状態を曝け出し、またある時はやや人見知りがちな風で「リアル」に肉薄し、ついには「脳内」の心理状態が「リアル」に図らずも到達してしまう。
そして泣く。
殊、タワーマンションのベランダ(バルコニー?)での嗚咽は上手すぎる。
他のシーンの泣き演技はまぁまぁ上手いという印象なのに、ここだけ異様とも言える程上手だったのは本当謎である。

もし去年見ていたら間違いなくベスト10圏内候補だった。
クリスマスと正月を直前に迎える時期に公開したい気持ちも分からないでもないが、まさに一月中旬にこの映画を見れて幸せな気持ちでもある。
ところで、ヨシカが「人々」に話しかけたり鐘を鳴らしたりする一連のシークエンスに、JR東日本のCM「行くぜ、東北。」シリーズを連想したのは私だけ?笑
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