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勝手にふるえてろのMypageのネタバレレビュー・内容・結末

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

わかりすぎて死んだ。

まず本が良すぎるな。読んでないけど。話の筋が。

最初の1分で共感のツボにどハマりしてしまった。いい台詞だった。僕にとっては限りなくリアルに近い言葉で綴られる心境。

そこから途中までの展開は、釣りしてるおじさんやバスで隣のおばさん、駅員、コンビニの定員に心の声を吐露していくスタイルでテンポよく進行。これは映画のファンタジーを利用してうまくリアルにアクセスしているのだな、と思って見ていたけど、終盤。。。

自分の名前を覚えられていない、という“現実”をキッカケに、それまでの展開が妄想だったことが明らかになるシーンは圧巻。宣伝でこういう展開をほのめかさないという戦略も成功したよう。

かわいいカフェの店員に「・・・絶滅すべきでしょうか」の一言で全てがひっくり返った。

“われわれ”の気持ちをファンタジーとして昇華する映画かと思っていたが、そこにとどまらなかった。一気にリアルへ。これはもう、“こっち側”の人間としてはツラい。

そして、序盤で語られていた「ふつうの人間はこういうことSNSに書き込むらしいんですけど、わたしにはそんなことできない〜」みたいな台詞が周到な複線のように感じた。“しゃべれてる”ようにみせる演出かと思っていたのが、じつは“しゃべれていなかった”。。メタのメタ。

どこまでがファンタジーでどこまでがリアルか、観る人にもよるし、そのバランスが絶妙。

僕は“男”だけど“こっち側”の人間なんだ、と。改めて。これが男と女が逆バージョンも世の中には溢れている。僕だけかもしれないけど?

唐突にはさまれた卓球のシーン。二がスマッシュを決めた後の2人の顔がリアルすぎてつらかった。

全体的には、ありがとうって感じだけど、あえて冷静になって言うと、このテーマだったらコメディじゃなくてもいいのかな、と。観客の裾野を広げるためにそれを選んだのか、原作からそういう雰囲気なのかはわからないけど。コメディも良かったけど。

あとちなみに松岡茉優は、“こっち側”の人間ではないと思う。それも全然いいけど。むしろ。
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