れじみ

勝手にふるえてろのれじみのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.3
自分と社会の距離を測る指標のひとつが名前。ギャグとして語られたフレディやオカリナ、出来杉の意味合いがガラッと変わると、主人公ヨシカの立ち位置もまた違って見えてくる。自分だけが被害者?自分だけが誰にも認識されない?救いはもう自分の視野に入っているのかも。超絶大傑作!!

松岡茉優のモー娘。好きを知る人ならこれはもう松岡茉優のドキュメンタリーのようなもので、ただその一方でTVで見せる彼女の姿が少しでも現実に近いならクリスマスプレゼントを忘れる失態は犯さない。松岡茉優と言う女優の絶妙な現実と虚構のバランスを兼ね備えた演技が凄すぎた

松岡茉優無双な作品ではあるが、渡辺大知と北村匠海もピッカピカ。松岡茉優がこれだけやりたい放題やれてるのは相手役の渡辺大知の存在が絶対大きいはず。北村匠海がマンションでヨシカを君呼ばわりするシーン、キミスイファンの自分は歓喜した。完全に地続きである。

序盤、ヨシカの痛みや悩みに共感すればするほど後半彼女と一緒に心がえぐられる。ヨシカは鏡に映った自分みたいなものとしか思えず感情移入しまくり。自分中心、自分だけが被害者。周りの変化には全然気付かない。

松岡茉優の怒涛の勢いでまくし立てる台詞の数々、定点的に配置された脇役の重要性。印象に残るミュージカルパート。
ヨシカとイチが東京の街並みを背景に趣味を語るシーンとその顛末にひたすら涙。
赤い付箋が濡れていく意味。天才。
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