河豚川ポンズ

勝手にふるえてろの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.1
2時間たっぷり松岡茉優劇場な映画。
普段あれだけ映画やらドラマやら観てるくせに、邦画は1年に一本見るかどうかな自分がなんとなくものすごく気が向いて借りてきた1本。

中学生のころから片思いし、誰とも付き合わないままで来てしまった良香(松岡茉優)は、26になった今でも妄想で補完した片思いの相手のイチ(北村匠海)に恋焦がれていた。
そんな生活に本人なりには充実感を得ていた良香に、会社の同僚の二(渡辺大知)に突然告白される。
生まれて初めての告白に舞い上がる良香だったが、やはりイチへの思いを断ち切れず、二への返事をうやむやにして保留にする。
そして良香はこの長い片思いに終止符を打つために、イチを含めた中学の同窓会を開くのだった。

最初のうちは見てるこっちもヘラヘラと笑ってられるけど、どんどんと話が進むにつれてかわいそうになってきて笑ってられなくなる。
どう贔屓目に見ても自分は良香に近い人種とはいえ、自分はあそこまでこじらせたオタクではないと思うし、ただそれでも妙に共感できる部分があって、まさに胸が締め付けられる思いになる。
「自分が思ってるほど大して自分は周りとつながりを持ててない」ということに気づくシーンとか、もはやホラーかよと怖くて震えた。

ストーリーの後半からはもはや暴走と言っていいほどの良香の行動は、もう松岡茉優の独壇場。
普段あまり邦画を見ない自分からすると演技力に定評のある人ぐらいしかイメージがなかったけども、見事にその噂に違わぬ演技を見せつけられた。
しかもこれが初主演らしいのだから、そりゃあ評判も良いはずだわと思った。
なんだか色々と空回りしてる二を演じる渡辺大知も、最初はあまりのズレ加減というか気味の悪さに見ていて変な声が出るほどだったけど、最後はしっかりとええ奴やなと思わせてくれて助かった。
これで挽回するところがなけりゃ誰も救われないし。

久しぶりに見た邦画だったけどやっぱり出来が良ければしっかりと評判として自分のもとに回ってくるのだなあと感じた一本だった。