フラハティ

勝手にふるえてろのフラハティのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.2
私は絶滅すべきでしょうか?


自分はこの世界でちょっと浮いてるんじゃね?とか、受け入れてくれてないんじゃね?って誰もが些細にも感じるようなところを上手く突いたような映画。
浮わついたあいつらとは違うとか思ってても、結局そんなやつらより卑屈な毎日を過ごしているのだ。


中二病なヨシカが、“妄想の世界”から“現実の世界”に足を踏み出す。
自分にとっては触れてほしくない過去であったり、傷ついたような思い出を、なんとか補正で幸せのように思える。

この世にはたくさんの人間がいるのにどこか他人ばかり。
ほんとうに現実と向き合うということは、本音で相手と話すことであり、上部だけの話じゃないってこと。
自分は“誰か”にとっての自分でいたいけれど、その“誰か”ってなかなかいないんだよね。
だから自分の妄想の世界を作り上げて、どうにか前を向いていきたいって健気じゃないか。
彼女はちゃんと生きようとしているから、よりつらさを帯びているんじゃないか。


1の存在はがっつり過去との折り合い。
二の存在はがっつり現実との折り合い。
ヨシカの学生生活って、おそらく恵まれてるものではなかったと思う(異性はもちろん、友人関係とか)。
だから彼女なりに、頑張って過去を美化しながら生きてきたけど、限界がきて戦わなくちゃならなくなる。
それが1との出会いで、過去との決別になる。
マジで学生時代の経験って大事で、そこで将来の人間性とか形成されていくってことを考えると、ヨシカの本心はかなり辛かっただろうと思うよ。
だからこそ、あいつのあの発言は心に強烈なパンチを放って呼吸困難。
いくらイケメンな男でもあの発言はさすがにない。

逆に言えば1って、過去と上手く目を背けてるよね。
だからなに考えてるか曖昧模糊としてるし、順風満帆に見えるけどデリカシーない感じだし。
だからヨシカと同じひねくれものなんだけど、捻れたアンモナイトなんですよ彼は。


二はうーん、どうなんだろう。
勝手に距離感見ずに、人の聖域に入ってくるけど、こういう人はある意味救いでもあったりする。
そこに誠実さが伴っていれば上手くいくだろうと思う。
彼は現実と向き合っている人間なのか、そこまでは読み取れなかったなぁ。
ただ、ヨシカと同様の世界観を持っているけど、それを表現するという面を見れば、彼は現実と向き合うことに成功したと考えても良いかも。
これは演じてる渡辺大知さんがグレート。

前半と後半で世界が変わっていく様子は驚きだったけど、納得。
後半でヨシカが現実と向き合おうとするときの障害と、名前を知らないっていうのが共通してたし、何よりヨシカの痛々しさが悲痛に感じる。
アンモナイトをはじめとした絶滅種のように自分を重ねる。
本当の孤独とはこういうことなのかと。
“拗らせ女”の話かと思いきや、現代の孤独さとも相まった楽しい映画だった。


松岡茉優は最高だった!
彼女は良い女にも拗れた女にもなれる、最高の女優さんだね。
この映画の笑いどころとかも、彼女が演じているから笑えるようなところも多かったと思うし。

タモリ倶楽部もシンプソンズもアンモナイトも好きでいいじゃない。
隠していたい部分があったっていいじゃない。
絶滅なんかしなくたって、アンモナイトのように誰かが好きでいてくれるよ。
勝手にふるえてろ!