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勝手にふるえてろの断面図のレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.9
人は誰しも脳内でヨシカと二とイチ、全員と同居して生きている。松岡茉優が痛烈キュートにその内なる主人公を演じてくれることで、観ている私たちをその時だけちょっと無敵にしてくれたのだと思った。この映画の感想を書くにあたって、どういう映画だったという完全なる第三者目線というより、もう完全に私ならという主線で話したくさせるので監督があっぱれ。

主役が二人いる。もう一人は完璧に二。冒頭でヨシカが言っていた言葉、あれが異常巻きオタ女の理想戯言の全てで私もいまだにそんなこと言いそうになるよ。それでも私は自分と同じ趣味を共有して絶滅した動物に二人想いを馳せて同じ所でで笑い泣き特別を共有していきたい…と。絶妙にスカしてて恥ずかしくて、バカバカしくて、二を異性として好きにはならないんですよ。と、一昔前なら思ってたけど今はちげえ。生き物は進化すっから。

二がヨシカに玄関先で言っていたこと、ああやって自分を諭して生活できたら情緒なんて安定しっぱなしだし、加工アプリで撮った自分の顔面ネットに上げ続けられるよね。いやそんなことしなくなるよね十分幸せだよね道草のタンポポ食ってやろうか。剥き出しの心を世に放つことなんて出来なくて、ジャンヌダルクになれないと分かっていても普通が出来なくてなりたくなくて誰かにいつもちょっとだけ憧れ続けている。そんなことわかってんだよ!とアンモナイトで頭カチ割りたくなるけど、でも、それを他者から言われたヨシカはああして救われたわけだ。全部剥き出しで相手にしなだれるのは間違ってる、もう少し早くこの例えの言葉を知っていたら良かったと思いました。

あの高いヒールで駆け出す恋は終わって、次はその靴下で地面蹴っ飛ばしてこう。
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