まめまめちゃん

勝手にふるえてろのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.5
本作コッチでは上映がなく、そして配信のお値段が下がらない。余程の名作かと思い勇気を出して見ることにしました今更。ちなみにいま「La la land」地上波つけてましたが、CMの度に現実に戻されるため見るのやめました。


物語のヒロインは、現実味を帯びているように見せかけて実は非現実的なハッピーやラッキーを手にしているところが魅力だと思うのです。さて本作の松岡茉優…ではなく江藤ヨシカはどうなんでしょう。

教室の端っこにいて存在すら認識されず、読書したり絵を描いたりして時間が過ぎるのを待ち、ひとりでいることを見られないよう登下校時刻をずらし、教室の真ん中で盛り上がってる奴らが気になりつつ、いつか王子様が自分を見つけて連れて行ってくれる、こんな悪意に満ちた世界ではないどこかへ。

あまりにもその願望が強すぎて現実の認識不足や努力不足、或いは現実逃避が積み重なったものとして作られた存在: それが江藤ヨシカという気がして、もっと共感すると思ってましたが意外にも少々仰け反る感じになってしまいました。

現実との不適合状態が持続した結果の(と思われる)攻撃的な言動と衝動的な行動、にも関わらず全てを受け入れてくれるリア充そうな「ニ」がいてくれたあたり、冒頭に書いた「現実味を帯びているように見せかけて実は非現実的なハッピーやラッキーを手にしている」ヒロインに間違いなくて、松岡茉優はその微妙なリアルを上手く計算して演じているなと思います。ファッションや小道具も物語のひとつであり、見てくれる女性を意識した映画と言えるでしょう。あ、監督は女性なんですねぇ。いま知りました。

その後まで演じてくれるなら、この頃の自分を顔から火が出るような恥ずかしさとともに振り返る江藤ヨシカ(松岡茉優で)を見てみたいなあと思いました。