みーやん

勝手にふるえてろのみーやんのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.7
いや〜これはイイ!イイですね〜〜〜!

 原作は未読だけど、映画としての細かい切り取り方や演出の感じからすると別物としてだいぶ良い仕上がりになってるんじゃないかな。小説のほうは一人称の独白がかなりの比重を占めてるらしいんだけど、だとしたらそれを延々モノローグで放り込んでくることなく形にしたのはすごくエライと思う!映画そのものが誰かの視点で描かれるのは全然いいと思うけど、そこに独白が実際の声でだらだら入ってるのって苦手やねんな〜。その内容を一人語りに頼らずに見せてこその映画だろうよ!と思ってしまう。効果的に使ってあればええねんけどね。とはいえこの作品でも主人公が独白っぽいというか答えを求めていない一方的な発言をぶちかますところは多々あって、これはこれで下手すると「そんなん知らんがな勝手にせえや」と思ってしまいかねないところがちゃんと届く・ちゃんと刺さるのは松岡茉優の技量なのかな。
 これはよく言われてることみたいだけど、この映画を観ると他の作品ではいかに女性について「ふつーの女子」や「イタい女子」をイカニモな造形で登場させてるか気付かされますね。当たり前だけどほんとはもっとみんな多面的なもんやんね。だからこそ女性だけでなく男が観ても「これは俺だ」と思える部分を見出してノれるんやろな。
 また全体的な色調・小道具・衣装などかなり細かく気を配ってあってとにかく観てて気持ちいいです。どうですイマドキでしょう!お洒落でしょう!っていうのが目につきすぎても疲れるし、下手するとリアリティなくなるしね。
 リアリティなんて言葉だしましたが、とはいえ特に中盤に一箇所、かなり思い切って映画的解釈というか普通こんなことねーよな、っていうくだりがあります。そうですね、テリーギリアムの「フィッシャーキング」で、とある男女が出会うシーンで街中なんだけど突然通行人が一糸乱れぬダンス(社交ダンス的なアレ)を踊り出して、キリのいいところでまたぱっと離れて何もなかったように通勤を続けるっていう演出があったけどあれに近いかなあ。そういう非現実的なものがボンと入ってくるとエッなんで?と引いてしまう人はそこでダメになっちゃうかもなあ。ここだけ唯一の要注意ポイントでした。
みーやん

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