歩くチブ

勝手にふるえてろの歩くチブのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.0
「金曜だよ?タモリ倶楽部あるじゃん」

例えばコンビニのレジでありがとうの一言が言えない人、人の目を見て元気よくおはようが言えない人、歩道を横並びで歩いてる人を追い越す時すみません通りますと声をかけられない人、すれ違う人の顔が見れない人

電車の中で向かいに座ってる可愛い女の子を見たいのに見られず視野見してしまう人

はい、自分のことです。

何も考えずできちゃう人と、あれこれ考えて結局出来ない人。後者なら間違いなく楽しめる。

コミュ障という言葉で一括りにしてしまえばそれまでだが、他人と関わることにとてつもない労力と勇気が必要な人にとってこの映画は笑えるけど心の底からはきっと笑えない。身に覚えがあるから。自分の恥部を覗かれてるようで居たたまれないから。
これはコメディでもありファンタジーでもあり純愛でもあり自虐ホラーでもある。生きるということはなんとお恥ずかしいことなのでしょう。恥ずかしいと怖いはなんだかとても似てますね。

アンモナイトの異常巻きは端から見ればなぜそうなった?と思う見た目だが、遺伝子的に異常なわけではなく、ちゃんと規則性があり数式で表現できるらしい。
中学の恋愛をこじらせ続けたヨシカ自身がアンモナイトの異常巻きだとすれば、彼女が過去の絶滅生物に強く惹かれるわけが解る。なぜなら僕も異常巻きだから。


何回も新着メール確認したり、電話きても無視したり、でも留守電はしっかり聞いたり。
もうなんかもうなんかもう
自分を観てる気がして怖い

ピンポン玉の弾む音と赤い付箋が雨で濡れた服の上に落ちてじんわり滲んでいくシーンは恥ずかしくなるほど官能的だったし、彼を初めて名前で呼んだ瞬間、ふるえた。

本谷有希子を彷彿とさせるこじらせ主人公。

現実と妄想、他人の世界と自分の世界。
大切なのはバランスをとることではなく、自分を認めてくれる存在なのかもしれない。

それにしても勝手にふるえてろって題名かっこよすぎでしょ


デートシーンでよこはま動物園ズーラシアのころころ広場が出てきてテンションあがった。一番好きな動物園。いつか娘と行きたい。
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