春21号

勝手にふるえてろの春21号のレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.3
最高だった。
面白かった。
観る前のは完全にドタバタコメディをイメージしてたんだけど(それこそモテキみたいな)もっと真面目で誠実というか、コメディチックなんだけど全然笑ってられない映画だった。

個人的にこの映画の仕掛けは全部見破れたというか、例のあの人たちも、1の正体も
同僚との違和感も最初っから何となくわかってしまった。
それはこの映画が上手く無いからではなくてむしろその逆で個人的にあまりにも刺さったからだと思う。
というかここで一言、人に指をさすな!

自分は世界から必要としてないというかどうでもいいと思いつつ心の底では世界を人一倍必要としていてなんなら少しは必要とされたいその現れ
絶滅すべきでしょうか?というのは心の叫びであまりにも響きすぎるぐらいに響いた。

後半の展開は主人公の行き過ぎた行動に引きそうになるけどああいう人はごまんといると思うのでその辺もリアルで…
彼女は結局自尊心や恥やプライドや諸々のねじれにねじれたそれこそアンモナイトのような存在のメタファーだと思うんからあそこまでの行動も納得できる訳でそして最期のセリフもまたグッときて…

あのタイトルは例の曲に対する当てつけだったみたいだけどキッチリと作中に炸裂するように仕掛けていて凄いと思った。

とにかく松岡茉優さんの存在感が圧倒的で彼女が居たからこそ作られた作品のような気がする。
ありそで無かったキャラクターを全く手を緩めずにグサグサ刺さる描写で描き切った傑作だと思う。

分からない人には全くだろうけど分かる人にはとことん"わかりみが深い"作品だと思う。
最後のキスシーンもいいね!あの場所をあんな風に使うなんて天才的だ!日本の名キスシーンの一つだろうきっと、是非
春21号

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