つな

勝手にふるえてろのつなのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.1
センス!ともかくそれにつきる!

久々に、勝手にテーマ解釈をすると『理想と現実〜理想の美しさは魅力的だが、現実の美しさは深く尊い〜』です。

空気が自然に流れてるので、すーっと入り込めて気が付いたら観終わってました。
監督と演者のコラボレーションってこういうことなんだなって感じがしました。
松岡茉優が実力派だってことは間違いなさそうですね。

よしかはともかく妄想おばけで、妄想の中に生きるよしかも幸せそうに見えるというのがミソです。
子供の頃から現実と向き合うことをせず、妄想に逃げて生きてきた。そんなよしかの現実への扉を開いたのは、魅力のある現実の人々でした。

圧倒的な人間味を感じさせる男『二』に無理やり現実に引っ張り出され、妄想の中の恋人『一』に対してでさえも少しずつ現実を生き始めるよしか。
その期間の妄想と現実が交錯するシーンで、よしかが最も幸せそうな顔をしているように感じられました。
ただ妄想の中ではありえない、他の人間の予測・理解不能な行動と向き合い、完全に現実に対して心を閉ざしてしまいます。

そして最後、くるみと二が現実に自分を想ってくれていることを実感したよしかは、現実を受け入れることを決意。
長い間、現実に怯えてふるえていた自分に決別する『勝手にふるえてろ』の一言で物語が終わります。

ここから現実を生きるよしかが、理想と現実が交錯した時の弾けるような笑顔じゃなくても、日常を噛みしめた清々しい笑顔に溢れる人生を送ることが目に浮かぶようでした。
現実の美しさを見事に描いた名作です。