KIRA

勝手にふるえてろのKIRAのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.7
松岡茉優の演技が光り、魅力あふれる作品。

この映画、公開当時、想定以上のヒットだったのか、自分は2度観に行ったんですが、2度目はプログラムが『完売』になってました。


主人公の良香(ヨシカ)。
普通じゃないようで、普通にいるような……
そんな感じが面白い、いいキャラしてます。

“視野見”
“アンモナイトの化石”
“タモリ倶楽部”
“高橋マジ神”
“フレディ”
など、次々とキーワードやネタが放り込まれ、どれもニヤリとしてしまいます。

“ドンドンパン、ドンドンパン”
We Will Rock You
サイコーです。

飲み会での“デキスギ君”の言論部についての“語り”も、
良香のさり気ないシニカルで悪意のあるリアクションも何気にジワリます。

“紫谷玲奈”の詐称アカ作るとか、
“死にたい”投稿しちゃうとかは、
やりすぎ感はありますが……怖面白い。

あと、良香以外も、
来留美(クルミ)の、
「あきらくんの影響で、スティーブ・ジョブズの暴露本書いたライターの超有名なフォロワーのブログの読者なんだけど」
とか、
説得力あるのかないのか、わからない付加価値を付けちゃうとことか、なんかそういう人いるなぁ、とか思ったり、

“ニ”みたいに、他人をお構いなしに自分の世界観にはめ込んで突っ走っちゃう人、
いるなぁ、とか

全員、いなそうないそうなキャラが出てくるのがいいです。


あと、重要なキーワードとして、
『名前』。

良香が
『他人の名前を覚えない』
のと、
『自分が名前を覚えられていない』
が対になってるのとか、

社会からみたら小さいけれど、
個人にとっては切実なことを、
コメディタッチで繋いで描く。
こういう表現、いいなぁと思う。


あと、あそこ良かったです。
「はい出た、正直ぃ。あたしそれ嫌い!」
でも、あーいう『正直』結構リアリティあるなぁ……
いい感じにヒヤリとさせられつつ、ニヤリとさせられる……


終わりの切り方からエンドロールへの入り方も良くて、
映画館で観た時にいい意味で、
「邦画を観たぁっ」
て感じがしたのを覚えてます。
そんな映画でした。
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