勝手にふるえてろの作品情報・感想・評価 - 833ページ目

勝手にふるえてろ2017年製作の映画)

上映日:2017年12月23日

製作国:

上映時間:117分

3.9

あらすじ

「勝手にふるえてろ」に投稿された感想・評価

茶一郎

茶一郎の感想・評価

4.1
 劇場が暗くなると、どこからか聞こえてくるのは松岡茉優のため息。劇中、繰り広げられるのは、松岡茉優扮する中学校の頃の同級生に未だに恋する冴えないOLヨシカの独り言会話劇。そして、映画世界はこの松岡茉優扮するヨシカの脳内から滲み出た想像の世界を直接的に映し出します。
 この何たるや凄まじい「松岡茉優・オン・ステージ」な一本、現代日本リアル版『アメリ』な一本、いや松岡茉優版『アメリ』な一本が今作『勝手にふるえてろ』なのです。
 『桐島部活やめるってよ』にて最恐最悪の義務的キスシーンを見せ戦慄のデビュー、最近では実写版『ちはやふる』のラスボスを見事に演じ切った松岡茉優さんがコメディエンヌとしての才能を遺憾無く発揮するというこの『勝手にふるえてろ』は、『美しい星』、『帝一の國』、『全員死刑』と、優秀なコメディ邦画が豊富だった2017年を見事に締めくくる快作コメディだと思いました。

 その自分勝手で、他者を常に上から目線で見下す性格の悪さから周りに友達がおらず結果的に、他者という緩衝材無しに「自分」と「世界」とが直接、対峙している系の人物が主人公の物語。『ウェルカム・ドールハウス』、『ゴーストワールド』、『マーガレット』、近作では『スウィート17モンスター』を筆頭とする所謂、「イタい系主人公モノ」という物があります。今作『勝手にふるえてろ』もこの系譜の作品であり、主人公の妄想・想像が直接、映画世界の描写に反映される様子は『アメリ』を想起させます。
 「イタい系主人公モノ」は主人公のイタさの反面、どこか憎めないキャラクター造形で、観客の興味を惹きつけますが、今作では性格の悪さの裏側に愛嬌がある主人公ヨシカを松岡茉優さんが好演してみせます。脳内ダダ漏れな独り言劇はもちろん、そのアンモナイトの化石を買うほど絶滅した生物好きという奇妙な設定が可愛い。実にこの「もうすでに終わっているモノが好き」という設定は、終わったはずの中学生の頃の同級生を10年以上かけて愛している恋愛の様子とも重ねて語られました。
 
 監督の大九明子氏の繊細な音使い演出や、女性を美しく撮る(OLの雑魚寝をあれほど美しく撮るとは!)手腕も印象的ですが、兎にも角にも、松岡茉優の演技力を全面押し出し、それが成功した時点でこの『勝手にふるえてろ』はかけがえのない作品となったように思います。
 また全編がポップな『アメリ』とは異なり、今作は主人公の行動による結果と責任を重く主人公に負わせることで、主人公ヨシカの気付きと成長を誠実に描きました。彼女の温かかった空想の世界から一変して、ヨシカに冷たい現実を気付かせる。彼女を襲う突然の孤独、その孤独を緩和するのは紛れもなく現実に存在する他者の存在であるというラストも納得です。何とも愛しい作品でした。
acchi

acchiの感想・評価

3.7
二が可愛すぎて死にそうだった。
客観的にみるとお似合いだけど理想は一みたいな男性に憧れるの分かる。

綿矢りさの作品で『蹴りたい背中』『インストール』が好きだなぁ。
ka

kaの感想・評価

3.4

良いところもたくさん。
独特な編集。
松岡茉優ちゃんの表情。
三木聡っぽいような感じもしつつ。

ただ、主人公のキャラがつかみきれなかった。多面性とか、人間一言では語れませんよ、と言ってしまえばそれまでだけれど。
なんかすんなり見れなかった。

お父さんとお母さんについてセリフで出てきたけど作中で全く出てこないし、
ひたすらに自分語りの、主人公目線。
自分の世界の中で生きていた女子が、他人との関係に目を向けていく話なんだろうけど、長く感じたな〜。

嫌いではないけれど、自信を持って好きとは言えないのは、
こいつ(主人公)やばい、痛い、と思いつつも自分にも思い当たる節があったり、同じ経験はなくとも全体的にわかる!と思ってこわかったからだと思います。笑

松岡茉優ちゃんて、ぱっと見あんまりかわいくないんだけどじっくり見るとすごいかわいくて不思議な存在。
こつ

こつの感想・評価

4.2
松岡茉優かわいい演技うまい!!!
涙浮かべながら不器用に笑うシーン
こっちまで苦しくなって泣きそうなった。
彼女のファンになった。

年内最後の映画館で
たくさん笑えて幸せ( ´ ▽ ` )
シリアスと笑いのバランスが
とても心地よかった。
誰かが自分と心から
向き合ってくれるって本当にありがたい。
来年からはもっと
人の気持ちに敏感になろうと思った。

赤い付箋と卓球にエロスを感じる映画。
miyuking

miyukingの感想・評価

3.9
初日✌

非現実的な感じで異世界のものとして進んでいたストーリーが、一瞬で現実の描写、経験したことのある感情、自分のものとして映画に見せられた瞬間、その時の涙と絞り出た声が、かなり印象的だった。

色んな要素があって最後は整理しきれんかったけど、
とりあえずマツオカマユに大敗あざす
ysok

ysokの感想・評価

4.3
私自身、彼と喧嘩するとよく「被害者面するなよ!」と言われる辺り、ヨシカと私を重ね合わせて観てしまった。
妄想の世界で生きているのもそう。
世の中を歪んで見てるのもそう。
イケメンと恋愛出来ないのも。
思えば彼氏は二のタイプだ。
でも、結局居心地が良くて、自分らしくいられるのは二なんだよなぁ。
サブカル女子には突き刺さる映画。
久しぶりに映画館で声出して笑ってしまった!
yamato

yamatoの感想・評価

4.7
年末にこんな大傑作に出会ってしまうとは。最高な恋愛映画でした。拗らせ方も最高でした。
mizukii

mizukiiの感想・評価

4.0
妄想と現実の間をいったりきたり、もはや境目もわからないまま、この年齢まで。こじらせ、って簡単に片付けられればそれまでなんだろうけど、透明でも、誰の目にも見えていなくても、現実は進んでいくのです。

記憶の中の、イチは、美化されてピカピカに磨かれすぎてもはや架空の人物で、もう現実にいない人を好きになっていて、誰もその人を越えられなくて、そしてそこにさらに現実のうまくいかなさが、どんどん積み重なっていって、さらに過去が、イチが磨かれていくっていう無限ループ。

名前、なんだっけ、って言われたあとのさらなるハチャメチャさが、空気感が、好きでした。
そして終始色々な小ネタが散りばめられすぎて、一人で見にきてる人多かったけど、映画館にたくさん笑いが起きてて幸せな空間でした。

松岡茉優ちゃん可愛すぎて、くるくる変わる喜怒哀楽が素晴らしかった。


"でも私はイチがよかった。二なんていらない、イチが欲しかった。私のお星さまは、イチ。最後まで食べずに残しておいたお皿の上のイチゴ。でもいま手に入れてすらいないうちに彼を失いつつある。告白してふられたとか彼に彼女ができたとか彼に幻滅したわけでもない、ただ、恋が死んだ。ライフワーク化していた永遠に続きそうな片思いに賞味期限がきた。"

原作の、好きな文だったけど、映画の中ではちょっとニュアンス違ったかな。また、それもいい。
たなか

たなかの感想・評価

3.8
妄想で楽しんでリアルでヒッコミジアンなとこが自分とかぶって要所要所グサッときました。ただ、笑いが散りばめられていて、重さを感じないのがよかった。
二が最初はうざいダメ男のイメージだったけど、後半かっこよくて可愛く見えた
ヨシカのリアルに返って孤独に気づいた時の泣きのシーンは気持ちが分かりすぎてつらかった…
松岡茉優はピッタリの配役。というか複雑な表情やらテンポのいいツッコミや、楽しそうな表情、泣きのシーンなど演技が上手い!!
あでゆ

あでゆの感想・評価

3.6
初恋相手のイチを忘れられない24歳の会社員ヨシカは、ある日職場の同期のニから交際を申し込まれる。人生初の告白に舞い上がるも、暑苦しいニとの関係に気乗りしないヨシカは、同窓会を計画し片思いの相手イチと再会。ヨシカは脳内の片思いと、現実の恋愛とのはざまで悩む。

初日舞台挨拶を含めて鑑賞。舞台挨拶では、松岡茉優が弄った客に対して後で口パクでごめんねと言っているのがとても印象的だった。

映画の感想としては、演技、演出、撮影どれもエッジが効いててテンポも良かった。やりたい事はとてもわかる。しかし脚本が致命的すぎるという印象だ。

まず演技は本当に素晴らしい。特に松岡茉優の怒りや寂しさ、恋愛感情や憎悪など様々な想いがない交ぜになった"笑い"の演技は至高で、いちいち鳥肌が立つ。松岡茉優は正直なところ、同年代に比べてトップクラスに可愛いわけではない。しかし、その点が彼女にとってプラスである。薄めの化粧をすれば、まぁいるかもなレベルの干物女にかろうじてなりきることができるため、その辺りの説得力を保つことができる。これは役柄に幅を持たせられる特権だ。ちょっと前の相武紗季のようなものである。

そんな干物女の妄想を中心にして語られるストーリーはとてもスピーディだ。過去、現在に起きた事をほぼ並列に回想のように扱って、「現実での妄想」中に沢山の事を振り返るような語り口はとても面白い。時系列がほぼほぼわからなくなりそうなレベルであるが、きちんとわかるようにもなっている。
タダでさえちょっと異常なペースのストーリー展開に加えて、思い切りのいいブツ切りのカットと止まらないギャグセンス、少々のミュージカル感によって、なにも視覚的な派手さはないにも関わらず、少しハイになりそうなドラッギーな映像になっているのはとても目に新しい。

しかしそれらの良さに脚本がついていけていない。例えば序盤、ニの言動が気が狂ってるとしか思えない。同僚の女がニの事を「彼なら絶対にあなたを傷つけない」と評するが、いやいやいや、出会いの段階で傷付けまくっているだろう。
特にクラブのシークエンス、まともな人間ならあそこまで付き合うとは思えないが、行きたいところを否定され、ラブホまで連れていかれて傷付かないというのなら、ちょっとどうかしてるだろう。後半になると少しはまともになるのだが、前半の印象が強すぎるために「なぜこの男に惹かれるのか」がビタイチわからない。これはラブストーリーという枠組みで致命的な問題だ。あのシークエンスが無ければまだマシだったのかもしれないが。そもそもヨシカは何故あんなのにラブホの前で告白されて嬉しいんだ?そういうものなのか。

逆に、後半になればなるほどヨシカが身勝手、横暴、メンヘラの三重苦へ。前半に関してはとてもありえそうなのだが、話が進むに連れて、これが女性のリアルと言われてもちょっと説得力に欠ける。僕向けの映画ではないと言われたらそうなのかもしれないが、もしこの映画で女性共感を狙っているのだとしたらあまりにもこのキャラクターは下品な気がするし、女性を舐めてるとしか思えない。転じて、実際に女性が共感できるのだとしたらちょっとどうなの?と思ってしまう。与えられた脚本に対する松岡茉優の仕事の出来があまりにも良いので、尚更にありえなさが加速する。

やりたい事や心意気はとてもわかるが、脚本がついていけてない。なんだか『最後のジェダイ』のような映画だ。あの映画は僕は評価しているのだが。

あと松岡茉優ファンとしては演技に新しい一面があまり無い。松岡茉優はこの映画を活かしているが、この映画は松岡茉優を活かしていない。そういう意味では『ちはやふる』のような映画の方が上級に感じてしまう。

ちなみに映画のラスト、彼女には最後まで捨て去ることができなかったものがある。それは松岡茉優という姿そのものだ。その彼女自身の最後のプライドを見つめると、この映画の深淵を覗いた気持ちになってしまう。観客の女性自身はおそらく自分を投影してみているんだろうが、自分が松岡茉優であるということは何ら疑問に思ってない。そこまで考えると恐ろしくなってしまう。