フローレンス・ピューについて、つねづね「ちょっと過大評価しすぎでは?」なんて思っていた過去の私を鯨尺(なぜに尺貫法)で打ち据えてやりたい。ごめんなさい私が馬鹿でした。
彼女は偉大な俳優です!
彼女の魅力は年齢に見合わない貫禄だと思っていて、なるほど他の作品ではそれを上手く活かしきれてなかったのかも。二十歳そこそこの「熟女」なんて取り扱いが難しいよね…。
己の欲望に向けてなりふり構わず突っ走るヒロインの姿を見て、凡人は唖然とするばかり。でも…あれだけやったら後悔もなにもなかろう。あの女は地獄に堕ちるだろうか、いやいや、彼女自身が地獄の業火で、周囲を焼き尽くしたのでは。
映画が想像以上に良かったので、青空文庫でさっそく原作を読んでみました。ロシア文学なんですね。そして原作では道を踏み外した人妻が相応の報いを受けていました。これは、映画のアレンジの方が好きだな。
それにしてもこれは劇場で観たかった…! あの青いドレスがあまりに素敵で。シルクタフタみたいな、張りがある上質な生地の質感がモニタ越しでも分かる。衣装が良い映画はそれだけで点数が上がります。