kyon

メゾン・ド・ヒミコのkyonのレビュー・感想・評価

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)
4.0
あああ…オダギリジョー尊い…
シャツインぴたっとしたスキニーラインのパンツって色っぽいね。
ちょっと『ベニスに死す』を感じる。
西島さんも一瞬わからなくなりそうだったけど、若い、やっぱりかっこいい!笑

『ジョゼと虎と魚たち』と同じ監督、脚本チーム。こう、なんか独特なざらっとした雰囲気や低温な感じ、どちらかといえばオダギリジョーを美しく撮ろうとしてる感じ、でも柴咲コウのむすっとした荒っぽさはまた魅力的。
北村道子さんの衣装もそうだけど、日常に溶け込んだ装いの中にたくさんの思惑があって、それを観客が素通りしたり、ときに気付いたりするその視覚的なやり取りはスリリングだよなぁ。


ジョゼ、は精神的な距離がすれ違ったけど、ヒミコでもそれは変わらず、ゲイである男に惹かれてしまう女の複雑さ、でも良いのはゲイだから男しか愛せない、とかヒロインだから結ばれるべきだ、みたいな固定観念がなくて、性差関係なく愛情がいくつも積み重なって、それでもやっぱり超えられない壁があることを知って最後柴咲コウが泣くのがぐっとくる。


貧乏なのに好きな男の前では目一杯お洒落していた母親に対して、ばかじゃないの、ってぽつり言う柴咲コウに父親のヒミコがそういうところが可愛い人だった、って答えるの。

その前にも孤独から救ってくれた愛する男の死の前で、愛だけではどうしようもできない歯痒さから、欲望がほしい、欲望なんだよ、って言うオダギリジョーよ。


ジェンダー作品でも色々なテーマが散りばめられていて、邦画の魅力がすごく詰まってる。


どこか隙のある女性の色っぽさも柴咲コウが体現している。

無防備に急に笑ったり、
優しさゆえに怒鳴ったり、
生活のための生活をしていて、
服装にも妙に隙がある。
顔は無愛想だけど、そのバランスが彼女のキャラクターを描いてる。

「サヤカに会いたいピキピキピッキー」はずるい、ずるいでしょ!
kyon

kyon