愛

メゾン・ド・ヒミコの愛のネタバレレビュー・内容・結末

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ビデオテープで録画とか横浜のクラブ、世界観が全体的に古い。

ゲイやトランスジェンダーのセクシャルマイノリティーの苦痛や苦労を一方的に書いているわけではなくて、それによって影響を受けた家族目線でも描かれているのが良い。

おかまやゲイのイメージとして女装や女性的な言動が特徴として描かれやすいが、ここには普通の男性にみえるゲイや女装をすることにためらいがあるゲイ、身なりや化粧をバチバチにキメるゲイなど様々なキャラクターがあって良い。

施設にいる一人一人の葛藤や話に焦点を当てつつ進むので、ヒミコとサオリの話がメインという感じはなく平等に問題を扱っている感じ。

サオリ自身の変化も見ていて興味深い。
初めは家族を捨てたゲイの父を恨み存在自体を否定し生きてきたが、再会し父がいる施設で働くことになり、周りの人間と接することでゲイに対するイメージやその人そのものを理解するという事の大切さなどに気がつく。キスされて春彦を好きになってしまう?が、結ばれることは無いのに思い合ってしまうのは虚しい。

マイノリティーが自分達だけで暮らすのは確かに一番楽で簡単だが、他の人がいる社会で生きていくのは困難で不安で不可能だと思っている施設の人達。そこにゲイに対して特に理解がないなんなら恨みさえあるサオリが想いをストレートに言う所が考えさせられる。お互いに避けあっては上手くいかないんだと思った。
受け入れる勇気、受け入れられる勇気。
愛