純

メゾン・ド・ヒミコの純のレビュー・感想・評価

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)
3.9
窮屈な場所でも、退屈しない生活。自分の羽を広げられる、わたしたちで守るわたしたちの家。翼を広げること、世界に飛び出していくこと、怖がらなくていい。あなたはすてきだから。皆が道を開けて「あなたを待っていたよ」と言ってもらうことに値するくらい、あなたはうつくしいんだよ。

人間だなあ、と思う。うるわしいひとも、情けないひとも、怒りん坊も、恥ずかしがり屋も、皆同じだ、と思った。自分の好きなものを堂々と愛せないことを恥ずかしがるあのひとたちがさみしかった。そんなさみしい思いをさせていいひとなんてひとりも居ないんだ、ど悔しくなった。

求めたい、求められたいという裸の欲望。あなたが好きよ、という言葉は「相手に届く」希望を纏った音色。死に向かう穏やかな瞳は、儚い世界に残していく形見なのね。
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