てんさん

メゾン・ド・ヒミコのてんさんのレビュー・感想・評価

メゾン・ド・ヒミコ(2005年製作の映画)
3.2
釈然としない映画だ、と思う。
和やかなシーンを最後に幕を閉じるが、幸せな気持ちで観終わることができなかった。

この作品には、明確な『答え』がない。
沙織はなんでメゾンドヒミコで働こうと思ったんだ。
沙織の投げかけに対して、なぜ春彦が答えるシーンがなかったんだ。
ヒミコからの愛の呼びかけに対して、なぜ沙織はちゃんと答えなかったんだ。
ルビーを送り出したメゾンドヒミコのメンバーは、本当は自分たちを守りたかっただけなんじゃないのか。
沙織はいったい、なんで泣いていたんだ。

センチメンタルなテーマを題材にし、一切『答え』を出さないこの作品に対して、イライラしてモヤモヤしてムシャクシャしている。

でも、鑑賞後、作品として切り取られていないシーンでいったい彼らはどう答えを出していたのか、それをひたすら考えている。

作中に、彼らが合唱した歌は、『母が教え給いし歌』。
「人は傷つき、もがいてはじめて、人生の愛の素晴らしさを自分で発見する」んだそうな。

『答え』になっていない答えだ、と思う。
どう捉えていいかわからない気持ちを全部、ふざけた魔法の呪文でさっさと吹っ飛ばしてくれ。
てんさん

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