このレビューはネタバレを含みます
ビジュアルと筋書でこれは「百合」でしょという下心から鑑賞。百合じゃなかった……。
説明と抑揚がない。
おかげで観やすいし、わかりづらくもある。
上級者向けかニッチ層向けな気がします。
恐らく私は楽しみきれなかった。
画面もごく静か。テンポはやや悪く感じる。
家内シーンばかりだからか、引きの構図がほぼ無く息が詰まる。
そこへ硬い鮮やかな音楽が斬り込んでくるのが良い。神経に触る感じ、現代アートの映像作品ぽい(適当)
効果音は特にお義父さんの健康器具が良い。不穏。ラストの場面では呼吸音のように聞こえたし、それが止むことで死んだとわかるのが当然よかった。
上記お義父さん死亡シーンも含め、全編説明が少ない。見えるもの聴こえるものから察さないといけない。
だから明確にわかると言えることはあまりないけれど、その分話の中に想像できる幅がある。
話について私の受け取り方ではまず「リリーちゃん怖いな」でした。
アマンダちゃんはただ普通に変わり者&年相応の厨二病、でもリリーちゃんはホンモノのサイコパスでは……という印象。
アマンダちゃんは作中で「感情がわからない」と繰り返しますが、リリーちゃんも(のほうが)わからないのでは。
大きめな嘘を平気で吐くし、睡眠薬を飲む飲まないまでの流れも胡散臭いし、手を下したのはこの子だし、アマンダちゃんを血まみれにしてからの涙、「テクニック」ではと思ってしまいました。
そもそも、お義父さんに関しても
殺される程の人だったのか？謎です。
確かにリリーちゃんへの態度は酷い人なんですが、
リリーちゃんの数多くの嘘、あるらしい悪事(作中お義父さんにも怪我させてましたよね)、野放しのお母さんといった要素から
険悪になっているだけで、アマンダちゃんちょっと騙されていたのかな？とも思います。
とはいえアマンダちゃんもどこまで知ってやっていたのかはわかりません(学校やインターンの嘘は見抜いていましたね)。
あんなに献身的だったのは何故なんだろう……そのあたりもう少し情報拾えていたら楽しめたかも。
謎だらけで楽しいのですが、なんというかその謎をなんとしても解きたいと思うようなシズル感を受け取れなかったために、私は楽しみきれなかった気がします。目が流れてしまいました
個人的には、終盤ソファのシーンみたいな部分がもう一回くらいあれば身が入っていたかも。好みですね。
それと本作、吹替/字幕ありますが字幕の方が良かった。
吹替はどうしても声の収まりが悪い感じがする(女優さんのハスキーボイスへ寄せて浮いている感じがしました)。
字幕のほうが文章短いので、意味を追うのがほんの少し難しくなるけれどしっくりきます。
関係ないですが先割れスプーンのことをSporkというと知ってちょっと笑いました
