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月と雷のiiparaのレビュー・感想・評価

月と雷(2017年製作の映画)
4.2
私はこの映画みたいに、知らない子供と親の都合で一緒に暮らしたことがある。

兄妹でもない子と一緒に暮らすというのは、本当に特殊な体験で、その関係性というのは、何に例えていいかわからないぐらい、不思議な関係性だった。

だから、この映画の主人公たちの距離感や関係性の描き方には、こういった特殊な体験を持たない人以上に共感できたし、そういった経験をしていないのに、リアルに演じられる役者さんたちに、本当に感心した。

高良健吾さんが演技が上手いのは百も承知だけど、この映画の登場人物のように、「地に足がついていない空気感」を、ここまでリアルに演じられるのはすごすぎる。高杉晋作の使命感や、「おひさま」のカズさんの誠実さを演じた人と同じ人だとは思えない存在の軽さ。

ああ。本当に役者なんだなあ〜「俺の体を切ったら映画の血が流れる」ってのは、本当かもしれない。(彼が言ったわけではなく、村上淳さんが彼を評した言葉)

初音映莉子さんも、主人公の持つイライラ感を物の見事に表現。

教訓になったり、観て楽しい映画ってわけじゃないけど、映画を観てる時に映画って忘れて、「ああ、この人たちは、どこかの街で本当に生きてるんじゃないかなあ」って感じさせてくれるほど、人がリアルに描かれている良作。
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