健忘症子さん

月と雷の健忘症子さんのレビュー・感想・評価

月と雷(2017年製作の映画)
3.5
”普通の家族との真っ当な生活“
それは、人の数だけ存在する幻想。

過去と再会し受け入れることで、人生が思いもしない方向へと歪んでいく様を描いた、不器用な人間ドラマ。

渇いた現在(いま)に対するやり場のない怒りを、清算しきれない過去に向けることで逃げ道をつくってきたが、結局、狂った人生の責任は、すべてを選択してきた自分にあるのだから、悔しい。

自分の逃げ道を塞ぎ、過去のしがらみから解放される唯一の術は、心の奥底で疼く過去と自ら向き合うこと。

人生なんて、なるようにしかならない。
そう素直に認めてしまえば、どこか少し救われる。