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心が叫びたがってるんだ。のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2017年製作の映画)
4.7
人と本音で向き合うことが苦手な高校3年生の坂上拓実(中島健人)は、ある日、担任教諭から地域ふれあい交流会の実行委員に任命され戸惑う。
そして、クラスメイトから変わっていると思われている成瀬順(芳根京子)も一緒に任命される。
彼女は幼い頃、何気なく口にした言葉によって家族がバラバラになったことから、今でも何か喋ろうとすると腹痛が起きるため、他者とコミュニケーションを取るときは筆談していた。
他に、クラスメイトの仁藤菜月(石井杏奈)と田崎大樹(寛一郎)を加え、4人が実行委員に。これまで接点のなかった4人だったが、それぞれ心に傷を抱えていた。
担任の提案で交流会の出し物はミュージカルを上演することになり、順と交流するうちに彼女の秘密を知った拓実は、歌なら大丈夫かもしれないと促す。
順は、心に閉じ込めてきた思いを歌に乗せて伝えようと決心するが……。
超平和バスターズの原作による熱い感動を呼んだ傑作アニメ「心が叫びたがってるんだ。」の実写版映画。
自分が軽はずみで言った言葉が原因で話せなくなった成瀬順を演じる芳根京子、自分がやりたいことのために両親の関係が悪くなり本音を言わず冷めたふりをしていた坂上拓実を演じる中島健人、拓実と仲が一度は切れたけど想いを募らせている仁藤菜月を演じる石井杏奈、ひじの故障で一度は甲子園を諦めたがミュージカルの実現のために努力する成瀬順に感化され再び甲子園を目指す田崎大樹を演じる寛一郎と、原作アニメのイメージ通りの若手演技派俳優陣の瑞々しい演技が、ホームルームで成瀬順が勇気を振り絞って「ミュージカルをやりたい」と挙手するシーンや拓実に自分の言葉に曲をつけて欲しいと頼むシーンなど原作アニメの名シーンにより生々しいエモーションを加えることでより自分の心を覆う殻から解き放たれようと足掻く青春群像劇を、リアルなものにしている。
特にクライマックスのミュージカルと拓実と成瀬順が気持ちをぶつけ合うシーンは、俳優が演じるからこそのむき出しなエモーションが、より感動的なシーンにしていてより感動する。
前半の喋れないくだりでの目や表情での演技と心情の変化やクライマックスでの美声の丁寧な演技が素晴らしい芳根京子、アイドルオーラを脱ぎ捨てた等身大の高校生のなりきりぶりが凄い中島健人の演技が印象的な傑作青春映画。
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