「せい」から「おかげ」へ。言葉を出せなくなったジュンを救ったのも言葉だった。
アニメ版、予告だけちらっと観たけど、雰囲気は似てる、乃木坂の主題歌が良いなぁと思いつつ、実写を。
芳根京子演じる幼少期のトラウマによって言葉を出せなくなった少女ジュンが、自分を言葉で救ってくれたタクミを通して言葉を獲得するまでの物語。
メインキャラ4人とも、その背景には「言葉」によって他者を傷付けた過去を持っていて、言葉を口にすると腹痛になってしまうジュンの葛藤を自分と重ねる3人の図も。
ジュンはタクミに好意を抱き、タクミは元カノだったナツキをずっと好き。ナツキはジュンの登場によってタクミとジュンが両思いだと勘違い、ダイキは懸命なジュンに惹かれる。……うわぁ、甘酸っぱい!!笑
恋愛という1つの形を通して、ジュンが自分を肯定できるようになっていくんだけど、多分恋愛ではなくても成り立つ、ただ見つけてくれたのは特に同じ傷を持ったタクミだったという。でも恋ってハプニングやタイミングってこのことで、見つけてくれたタクミのその先も優しく、それに懸命に応えようとするジュンにうう…となる。
印象的だったのは、やっぱり言葉によって失ったものを言葉によって手に入れていくラスト。
タクミのジュンへの思いはおそらく共鳴に近いもので、ジュンを救うことでタクミ自身も救っていた行為だった。
だからジュンの思い(もしかしたら初恋)は報われはしないんだけど、それにしてもずっと自己暗示で「私のせい」だと自分を責め続けていたジュンを「成瀬のおかげ」という言葉の転換によって救い出したタクミには惚れた。
どんな思いも、
一歩踏み出せば他者と関わることになるし、そこから過去に戻ることは出来ない。それは言葉も同じだし、ジュンにとってこの先生が勝手に配した「ふれ交」の実行委員は偶然にも彼女の人生を変えた出来事である、そんなところが優しい世界として描かれていて良かった。
そして、ふれ交の演目のミュージカルの王子のように、タクミ演じる中島健人くん…最高に王子様!笑 これは…惚れる…
でもジュンに惹かれてるダイキもわかりやすくてにやにや。
目線が丁寧に撮られていて、台詞がない中、誰が誰を好きかがわかる。物語の展開に合わせるわけではなく、冒頭から最後までキャラの気持ちの描き方が一貫されていたな、と思いました。
ミュージカルシーン、これ高校生が作る舞台としてクオリティ高い、ダイキがタマゴ役だったけど、ちょっとタマゴ具合がリアルで笑いました笑