マヒロ

ヒットマン:インポッシブルのマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
脊髄に障害を抱えて車椅子生活を送るゾリと、その親友で筋肉に障害を抱え上手く身体が動かせないバルバの2人の青年は漫画家志望で、自作のコミックの持ち込みを繰り返してデビューを目指していた。そんな中、同じく車椅子で元消防士だというルパゾフという荒っぽい男と出会い交流するようになるが、実はルパゾフはギャングから仕事を請け負いターゲットを消す殺し屋だった……というお話。

安っぽいアクション映画みたいな邦題や惹句を付けられているが、銃撃戦なんかもあったりはするが中身はハンガリー産の割と落ち着いた作風の映画で、映画の持ち味を完全に殺してしまっているあたりが何とも惜しい。原題は直訳すると「純粋な心」という意味らしい。
オタク青年2人が殺し屋という別世界の人間と出会い非日常的な出来事に巻き込まれていく…という展開はサイモン・ペッグとニック・フロストの映画みたいな感じがあるが、主要人物がみんな車椅子であるというところで他の映画に無い独特のテンポを生んでいて、電動車椅子のバッテリーが切れて身動き取れなくなったり、ちょっとした傾斜が移動の妨げになったりと、普通は起こりえないハプニングが思わぬところで訪れたりするところが面白い。

ビニール袋に雑にしまわれた銃とか、暗殺の打ち合わせをするのがそこら辺の原っぱだったり、絶妙に洗練されていないところもまた凡百のアクション映画とは違う独特の感性がある。ラストには思わぬ真実が明らかになるヒネリもあったりして気が利いてる感じ。
めちゃくちゃ面白い映画……というわけでは正直無いが、唯一無二の魅力は持った映画だと思う。


(2021.151)
マヒロ

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