こたつムービー

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のこたつムービーのレビュー・感想・評価

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レディプレイヤー1と同時期同時進行的に作られた、巨匠のレフトハンドワークの本作。
映画館に行こうと思ってて結局今になってようやく鑑賞した。

いいや。レディプレイヤー1こそが流し仕事だ、と確信した。それくらいよかった。なによりヒューマニズムに溢れている。ブリッジオブスパイ好きとしてこの作品も支持する。

この映画はメリル・ストリープの側近フリッツの映画だと思ったね。
フリッツ役トレイシー・レッツ(ちなみに彼はピューリッツァ賞受賞劇作家だ)はじめ、脇の良いこと佳いこと!彼ら脇役の名演にトムハンクスは余裕で喰われてるよ。

ホント巨匠が好きな俳優かき集めました、的「通好みの小品」。ゴリゴリ特撮ティーン映画の合間で撮られた、俳優のポートレートとアンサンブルを楽しむ善性に満ちた大人の映画だ。

「制作を急いだ」とされるこの映画のメッセージ性もひしひしと伝わってくる。「解」のわからぬ「先の恐怖」に大人たちが痺れる、その先を描いた秀作。安全、保身、ことなかれ、かーー。あるいは理念・理想・信念か。素晴らしいテーマだ。また、ひとりの女性の成長記でもある。

「報道の自由」と言葉にするだけなら簡単だ。

その自由に潜む「重み」まで考えなければこの言葉は空語となる。そんな残酷な重みと現代への警鐘も、娯楽の中にしっかり忍ばせている。
折を見て再見するだろう作品。