Jun55

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のJun55のレビュー・感想・評価

4.4
歴代政府が行ってきたベトナム戦争の隠蔽をワシンポストがすっぱ抜く実話に基づく映画。ワシントンポストは機密情報(ペンタゴンペーパー)の取り扱いに社運をかける。
メリルストリープが演じるのは当時のワシントンポストの社主のキャサリン・グラハム。ベストセラーになった彼女の自伝「わが人生」を昔読んだことがあるので、そのイメージと重ね合せながら彼女の演技を観ていた。
当時、ウォーレン・バフェットが新聞社という”古い産業”にもかかわらずワシントンポストに多大な投資をしていたことも興味のひとつだった。
彼女の存在が大きかった。
キャサリン・グラハムは夫が亡くなり急遽社主になった素人の経営者だったが、新聞社の意義を良く理解していた。カリスマがあった。

この史実は数十年前に起こったことだが、報道の自由への権力からの挑戦という意味では、現在の政治情勢は当時の政治情勢と極めて似通ったものがあり、どうしても映画を観ていて熱くなってしまう。
監督スピルバーグが狙ったところは、まさにそのメッセージなのだが、この映画を熱狂させる背景には、アメリカ人のFirst Amendment に対する思いの強さがある。
昨今、全世界的にも報道の自由への危機が話題になるが、アメリカがFirst Amendmentを有していることは、ある意味ユニークであり、全世界的にも重要な意義を持つことだと思う。

どうしても二年前にアカデミー賞作品賞を受賞したSpotlightを思い出させる。政治情勢に敏感なアカデミー賞がこの映画をどう評価するのか気になるところ。
ただ、比較するとSpotlightの方がジャーナリストの泥臭いところをうまく描いていたような気がする。
メリル・ストリープとトム・ハンクスの演技が素晴らしく、安心して観ることができるのだが、二人が引き立ち過ぎてしまうきらいもあり、その点もSpotlightと比較されてしまうところかもしれない。