メランクさん

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のメランクさんのレビュー・感想・評価

5.0
こういう見方がいいとは思わないんだけど、町山さんの話などを聞いてケイがどういう選択をするのかは察しがついた上で序盤から見てしまうわけで、ベンが気づくよりもずっと前からケイのその判断がいかに難しく、いかに重いものかすごいわかる。
ケイが本当に上品で、いかにも世間知らずの弱いご婦人に見えるからこそ、彼女が自分の感覚と努力によって決断にたどり着く過程に痺れる。

結局はケイが世間に背負わされているイメージから脱却する話であり、
彼女が殻をぶち破ることが「報道の自由=社会」を守ることに直結するという構成が実に見事。

法廷から降りてくる彼女を取り囲む無言の女性たちや、新聞を印刷し街中に送り出していく労働者たちなど、細かい描写の中に名もなき市民の存在を感じさせるのもまたよくて、基本的にずっと号泣。

日本の新聞、頑張れよ!