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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のnaoズfirmのレビュー・感想・評価

3.7

反トランプ🎬

ストーリーはニクソン政権下で機密文書ペンタゴン・ペーパーズを公開し、ベトナム戦争の欺瞞を暴き出したワシントン・ポスト紙の姿を描いた作品でした。今作の主演であるメリル・ストリープはアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。前半は陰気臭い政治ドラマが展開されていますが、後半の怒涛の展開に興奮しました。

キャサリン・グラハムという、実在した人物に挑んだメリル・ストリープは、「権力に立ち向かう強い女性」ではなく、突然新聞社をまとめなければならくなり、戸惑いながらも逆境に立ち向かう女性として、愛嬌たっぷりに演じています。機密文書に関する記事を掲載する事を決断するシーンでは、悩みぬいて決断を下すというより、勢いで決めてしまったという雰囲気で演じ、電話を切った後に「とんでも無い事を決めてしまった」という細かい演技を見せており、非常に親近感が沸く人物として演じていました。対するトム・ハンクスは、終始低いトーンの声で、早口でまくしたてるように喋るなど、切れ者の新聞記者という印象を観客に与えます。メリル・ストリープとトム・ハンクスが、顔を会わせるシーンは多くなく、2人が同じ画面にいる時はストーリーが進む時なので、毎回非常に緊迫感のあるシーンになっています。また、脇を固める俳優も魅力的な人が多く、特に機密文書を入手する新聞記者、ベン・バグディキアン役のボブ・オデンカークが、渋い雰囲気を出しながら、時に感情的に、時にユーモラスに演じており、存在感を出していました。監督を務めたスティーブン・スピルバーグの演出も見事で、キャサリンが機密文書の記事を掲載する事を決断する場面では、細かいカット割りや、さまざまなアングルで撮影し、電話をしているだけなのに、非常に緊迫感のある場面になっています。スピルバーグ監督の職人技に関心しました。

見所
・アメリカの陰謀
・マスコミvsアメリカ政府
・エンドロール

テーマ
・報道の自由
・反性別差

男性優位の社会において、女性の決定により国家を動かすような大きな決断がなされたという事を描きたかったのだと考えました。平和に終わるかと思った本作ですが、ラストシーンでは民主党選挙対策本部に忍び込み、懐中電灯をもって何かをしている怪しい集団が映り、物語は幕を閉じます。

「ウォーターゲート事件」へと繋がる、、

実はペンタゴン・ペパーズ漏洩事件の翌年に、ニクソン大統領が大統領選の再選を果たすため、裏でライバルの民主党を盗聴していたことが発覚します。そして、この「ウォーターゲート事件」をリークし公表したのが、ワシントン・ポストだったそうです。アメリカのマスメディアのカッコ良さを描いていた作品でした。
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