ももも

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のももものネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後まで全てのシーンが鍵になっている作品。少しベトナム戦争の歴史を勉強した上で見るとより理解が深まってよいと思います。

①いい意味で予想外だったのがメリル・ストリープ演じるケイのキャラクター。もっと強くてパワフルな女社長を演じると思っていた。自分だけでは会社の方針を決められず男性役員に頼ってばかりで、どこかに常に「私は社長になんかなる運命じゃなかったはずなのに...」と思っている自分がいて、それでも代々受け継いて来たワシントン・ポストの新聞が大好きだからなんとか会社を守ろうという思いでいるケイ。もちろんこの時代に、旦那が自殺したから仕方なく会社を受け継ぐことになってしまった女性なんて虐げられるわけです。

でも、この記事を掲載しよう、裁判でも何でもかかってこい、新聞は政治を監視するという役目があって、それは会社を守ること以上に大切なことなのだ、だってそれがそもそも新聞社の存在意義なのだからという強い意志を持ち、その判断をする彼女は、トム・ハンクス演じるブラッドリーの奥さんが言っていた通りとても勇敢だったと思う。

②トム・ハンクスもまた、素晴らしかったです...。新聞記者感がとてもよく表現されていた。あの歩き方!ちょっと太った感じ!雑な感じ!笑
Bossyで頑固で正義感が強くて、ああいう上司は上にいたら厄介だけど尊敬しちゃうよなぁって思うような、良い部長をすごくそれらしく演じていました。

③所々に入れてあるジョークがおもしろい!ブラッドリーがケイの家に毎日のように来て、ケイが「もう鍵渡しちゃおうかしら」なんて言うところとか、特ダネを掲載するかしないかの究極の判断をしている最中にブラッドリーの娘がレモネード売りまくってるところとか、粋なジョークが結構ありました。またブラッドリーとケイの友情も温かかった。

④新聞が作られるシーンがワクワクしました。報道!という感じが出ていてとても好きでした。

⑤今の時代に伝わるメッセージもたくさんあり。特にニクソンのかける電話はトランプのようで、「ワシントンポストの記者は絶対にホワイトハウス内に入れるな!」などなど、こういうシーンを入れることで、メディアは政治の監視をする義務があるというメッセージを強めていたと思います。
このニクソンの電話もまた、最後の最後につながる大きな鍵ですね。続きが見たくなっちゃう。

⑥報道のバタバタ感が出てておもしろかった。仕事が、ただ食って行くためだけにするものではなくて、報道はそこに大きな使命が与えられる最たるものだと私は思っているので、非常に楽しめました。
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