Mikiyoshi1986

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

4.5
巨匠スピルバーグの社会派演出が炸裂する極上のジャーナリズム作品『The Post』

近年は数々の社会派ドラマに力を入れているスピルバーグですが、本作はその一つの真骨頂に達した秀逸な仕上がり。
泥沼化が続いたベトナム戦争の終結に一役買い、ニクソン大統領の悪政を暴くジャーナリズムの真髄が一貫してサスペンスフルに展開されます。

ベトナム戦況に関する国家機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を巡り、報道機関とニクソン政権との熾烈を極めた攻防。

一介の地方新聞に過ぎなかったワシントン・ポストは如何にして逆境を乗り越え、全米の信頼を得る一流紙に躍進することができたのか。

スピルバーグが最新作『レディ・プレイヤー1』の制作を中断してまで本作に懸けた思いは時事性に溢れ、
報道の自由とその意義を今一度強く我々に問い掛けます。

かつてスピルバーグは1993年に『ジュラシック・パーク』という超娯楽大作、そして『シンドラーのリスト』という社会派大作をWで公開し、ハリウッド最高峰の作家であることを世界に知らしめましたが、
あれから四半世紀が経過してまたしても『ペンタゴン・ペーパーズ』&『レディ・プレイヤー1』のWコンボ。
彼の才能はまったく衰えることを知りません!

冒頭の朝の会食シーンでは、トム・ハンクスとメリル・ストリープによる長回し演技合戦で我々を釘付けに。

苦悩しながらも圧力に屈せず信念を貫く新米女性経営者、そして熱いジャーナリズム精神で邁進する新聞記者の組み合わせは、この小難しいドラマに更なる奥行きとこの上ない感動を与えてくれます。

あと最後、ウォーターゲート事件の現場を通報したのはフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)だったと思うと、無性に笑えてきます。

そして大変私事ではありますが、本日FILMAGAの映画ライターとしてデビューいたしました。
記事内容は今月で公開50周年を迎えたSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』のネタバレ解説です。
拙文ではありますが、是非とも一読よろしくお願いいたします。
https://filmaga.filmarks.com/articles/1905
Mikiyoshi1986

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