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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のkouのレビュー・感想・評価

4.0
《政治とメディア》
1971年、ベトナム戦争における不都合な真実を書かれたアメリカ国防総省の文章(ペンタゴンペーパーズ)が新聞によって明らかにされた。その事実を映画化したのが、名将スティーブンスピルバーグだ。

スピルバーグはこの映画を僅か5か月で撮り上げたという。とても短時間で撮ったとは思えないほどの見事な作品。検索すると沢山出てくるが、彼が今作をこのタイミングで撮ろうと思ったのは、政治とメディアの関係の悪化が理由しているという。権力側が情報をコントロールする、そしてそれに対しメディア側も自らの不利益を恐れて抑制してしまう。本作のタイミングが、日本での最近のニュースにも近いものを感じ、過去の事実というだけで終わらない作品になっている。

今作の物語運びの手際の良さは流石。終盤は真実を報道すべきかどうかと悩み葛藤する展開からのカタルシスのある展開になっている。スピルバーグのなせる業だなと改めて感心させられる。正しい事をする、やるべきことをするという事の困難さ、しかし主人公たちの選択はとても感動的でもある。
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