ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。
国防総省がベトナム戦争を客観的に分析した調査文書「ペンタゴン・ペーパーズ」が流出。
その全貌を公表しようとするワシントン・ポスト紙と、それを妨害しようとするニクソン政権…
実話に基づく、報道の自由や信念を懸けた闘いを描いたドラマ。
史実や実話を映画にすると骨格のストーリー自体は説得力があるので、ある意味安心して観ていられる。
だが、そこにエンタテインメント性も持ち込みながら何かを訴えようとするのはなかなか難しいと思う。
時には事実とは違う描写も使って、ドラマ性を高めようとする。
だがもし、それで失敗すれば批判の嵐に会ってしまうのだから、やはりフィクションよりもリスクが高い。
わざわざ苦労して脚色や演出するよりもドキュメンタリーのほうがリスクを少なくしてストレートに伝えられると思うのだ。
だが、その難しいはずの作業を、まるでいとも簡単(実際は簡単にはやっていないだろうが…)にやってのけるスピルバーグは本当に才能の塊。
さらに本作はスピルバーグ作品の中で最短期間で完成したというから驚いてしまう。
こんな観応えのある作品をサクサクっと作ってしまうスピルバーグに脱帽するしかない。
キャストもメリル・ストリープ&トム・ハンクスという安定感が観ていて疲れない。
淡々と感じる前半~中盤かも知れないが、嘘っぽくないので好感が持てた。
そして終盤に入ればスクリーンにのめり込むようになる展開と演出。
スピルバーグ作品の中では地味に感じるかも知れないが、良作であることに異論はない。
お勧めです‼