ベルサイユ製麺

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

4.2
近年、大手報道メディアに対する不信感の高まりから、それらを指して“マスゴミ”などと揶揄する傾向が広く有り、殊に新聞に於いては政治的スタンスの相違に依る言説のブレ、即時性の低さなどから前時代的メディアの代表として、その受容のされ方も“読むもの”から次第に“金ねえし自分で散髪してみっか、の時下に敷くもの”に変容している事は認めざるを得ないところでしょう。
今作は、かつてその新聞がメディアの王であった頃、ある新聞社が国家の機密についての報道を巡りその権利を求め闘い、やがて国の行く先を大きく左右する事になった実際の事件を描いたものです。

…いちご新聞社の編集局次長ベン(トム・ハンクス)は目を丸くしていた。休日のルーティーンである競取りの買い付けの最中に立ち寄ったブックオフの100円ワゴン。山積みの『KAGEROU』や『日本国紀』の横に無造作に置かれ異彩を放つ書面の束。見たところ数千ページは有るかと思われる。そして表紙には『ペンタゴンペーパーズ ※国家機密』とタイプされている!機密!!
ベンは即購入し、自転車で何往復もしてそれを自宅に待ち帰った。正直、内容や価値については何も分からないが、巨大な紙の束の見た目のインパクトにやられてしまったのだ。(ベンはそういうフェチなので、週プロとかジャンプも山積みにしがち)
四畳半の自室の畳をミシミシ言わせながらそそり立つ膨大な量の紙の束。それを見つめながらベンは恍惚とした表情を浮かべていた。
「紙…いっぱいの紙…」。
初めは独り占めして思う存分サースサースするつもりだったベンだが、次第にこのペンタゴン・ペーパーズ?の圧倒的な存在感を世間に知らしめたいと感じるようになった。そしてふと思いつく。「そうだ、いちご新聞の来月号の付録、ポムポムプリンのペンケースはやめてペンタゴンペーパーズの実物大の複写を付けよう!」
“データなんかじゃダメ。現物だけが持つ凄み、熱は誰にでも伝わるはず”などというオタク特有の戯れ言は、やはりというべきか社主であるいちごの王様(メリル・ストリープ)にはなかなか聞き入れてもらえない。ふつうに考えて本体40ページのタブロイド紙のオマケが7000ページの文字だけの書面の束というのは冒険と言わざるを得ない。まして、特別定価35000円はいちごメイトの子供達には負担なのでは無いだろうか…?
最初のうちは、このどうかした提案を固辞し続けていたいちごの王様だったが、ベンのある言葉に態度を変える。…
ベン「ペンタゴン氏(?)がこの文書で訴えているのは、要約すれば“友達を大切に”ということ(な気がする)です。…これは王様のお考えとも一致しますし、公益性も極めて高い。子供たちの為にも是非!」…いちごの王様はあらぬ嫌疑をかけられそうなレベルの、度を超えた子供好きです。王様は暫し沈黙し、それから涙を浮かべ震える声で言いました。「やりましょう。やらないと。やるのよ。付録つけましょう!」

ああ、メリル・ストリープはやっぱり素晴らしい!なんて感動的なのでしょうね…。
いちご新聞をご存じない方はサンリオショップに行ってみてください🎀 small gift big smileでございます☺︎
妄想はさて置き、肝心の映画の方はただただ素晴らしいの一言。完璧なマナーで作られていて、意味的にも完全に正しい。普遍的だけど古臭くない。アクション要素は全く無いにも関わらず、編集のテンポ感はスポーティで一切ダレない。綻び無く構築された作品世界は流石のスピルバーグクオリティで、その没入度でディズニーランドと肩を並べると思います。
主演、トム・ハンクス。…こんな顔つきだったかな?と思いながら観終えたのですが、メイキングでスピルバーグと談笑してるその顔は、まさにいつものトム・ハンクス!彼の演技は別次元に突入している…。
などなどと、本当に申し分の無い作品ですが、一概に自分の理解度、集中力の低さのせいで多くの事を取りこぼしてしまった気がします。正直あんまり分かったようなフリで感想は言えません。無念…。

サンリオの素晴らしさ、尊さについては疑う余地はございません!好きなキャラクターはキキララと赤マイメロでございます。☆5.0じゃあ!