さくらんぼ

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のさくらんぼのレビュー・感想・評価

4.1
「負けると分かっていてベトナム戦争を続けた理由の70%はアメリカ敗北という不名誉を避けるためである。この為に若者を戦争に送り込んだのだ。」
この事実を世に知らしめるべく、最高機密文書の新聞掲載を巡り奮闘した人々を描いた映画です。

女性が活躍する映画を思い浮かべると、どの女性も強く逞しいです。でもメリル・ストリープ演じるキャサリンは違いました。新聞社の代表でありながら大事な場面での発言も遮られ、お飾りのように扱われ弱々しい。でもその彼女も会社を守ることと「無事に帰還したけれど、何故息子や友人の息子は戦争に行くことになってしまったのか」という怒り、新聞社の使命は真実を伝えることであるという信念との間で思い悩む女性を見事に演じています。仕草や視線の配り方、表情でその時々の感情を静かに伝えます。アカデミーノミネートも納得です。トムハンクスとのシーンはどれも見応えがありました。

調べてみるとスマホの影響で新聞の発行部数は2000年の5,370万部から2018年には3,990万部にまで下落しているそうです。電車の中で新聞を縦に二つ折りにして読んでる人をあまり見かけなくなりました。でも私は、家でバサッとテーブルに広げて新聞を読まないと1日が始まらないほど、紙が好きです。テレビ欄から読んではいますが。だから、活字を並べて文章にした活版を作っていく様子や、タイプライターで一文字一文字打っていく様子、そして、それを輪転機で印刷して新聞が出来上がっていく様子は私にとってはもう一つの見どころでした。
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