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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のmegumiのレビュー・感想・評価

5.0
これは報道の自由の物語。そして、1人の女性の物語。
夫の死で、期せずして新聞社の経営者になったキャサリン。映画序盤、夫の残したこの会社だけは守ろうと奮闘する彼女だが、その姿はお世辞にもかっこいい・有能だとは言えないものだ。荷物を大量に抱えて移動し、会議では緊張で一言も発言できない。ただ一生懸命で健気な女性。
だが彼女の強さは、この映画の最高潮、最後の最後に現れる。彼女の成長と、記者たちの覚悟が現れるあのシーンは鳥肌モノだ。
メリル・ストリープがやる役だから若い時から記者として奔走し男社会の中で活躍してきたかっこよくて「すごい」女性なのだろうと勝手に思っていた。だが違った。彼女は「普通」の女性だった。母として主婦として生きてきた女性だった。だが経営者という新しい立場に立って、奮闘して学んで徐々に立場にふさわしい人間になっていく。男なら「立場が人を作る」理論は適用されるが、今でも女にはその理論は適用されていない気がする。だが、彼女は間違いなく立場が作った人間だ。その裏に彼女自身がもつ確かな「強さ」があるのは勿論だが。
この映画は、確かな「強さ」を持った「普通」の女性が、「すごい」女性へと成長していく物語なのだ。
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