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蜘蛛の巣を払う女のRのネタバレレビュー・内容・結末

蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2019年の「ミレニアム」シリーズの3度目の実写化作品。

監督は「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス。

あらすじ

ストックホルムの厳しい冬、背中にドラゴンのタトゥーを彫った女ハッカー、リスベット・サランデル(クレア・フォイ「ファーストマン」)にAI研究の世界的権威であるフランス・バルデル博士(スティーヴン・マーチャント)から自身が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保証局からハッキングして欲しいという仕事が依頼される。それは天才的なハッキング能力を持つリスベットにとっては簡単な仕事のはずだったが、それは16年前に生き別れになった双子の妹カミラ(シルヴィア・フークス「リーサル・ソルジャーズ」)の罠の一部に過ぎなかった。

この「ミレニアム」シリーズの存在を知ったのは以前勤めていた職場の理事長夫人が映画好きで、同じく映画好きだった俺に何故かスウェーデン版の一作目から三作目までを貸していただいたのがきっかけだった。

そん時はなんか気遣うし、めんどくせーことになったなぁ…くらいにしか思ってなかったんだけど笑、ご存知主演のノオミ・ラパスの出世作なだけあって、見てみるとやっぱり面白くて、なんだかんだその後のフィンチャーによるリメイク版も見ちゃうくらいには興味があったので、今作の久しぶりの実写化作品も、なんか不穏な予告編含めて気になったので鑑賞。

もちろん、直近の関連作品であるフィンチャー版と繋がりはなく、キャストも一新されている本作。

正直、美しさでいうとフィンチャー版のルーニー・マーラの方に軍配が上がるなぁと感じてしまったリスベット役のクレア・フォイはでも、プロポーションの高さとリスベットのあのパンクじみたルックに扮装すると流石に雰囲気がある。

けど、驚いたのはリスベットの相棒役であるミカエル(スヴェリル・グドナソン「ボルグ/マッケンロー 氷の男と火の男」)が若っか!!こいつ、誰やねん笑。フィンチャー版だとダニエル・クレイグだから随分若く感じるなぁー。

そんな今作は冒頭でどうやら浮気しているだけでなく、奥さんにDVをしている男を宙吊りにして吊り下げるという、そういえばリスベットって過去の背景からこういう虐げられる女性たちを守るヒーロー的な存在だったなぁと思い出すそんなシーンから始まる(そういう意味では今の時世にもあったキャラクターと言えるか)。

なんというか、他のレビューや宇多丸さんも言ってて、予告編でも感じたいけど、全体的に「007」の特に「スカイフォール」を意識したような雰囲気をムンムンに連想させる。

とにかく、画面構成が綺麗。

今作では、特に北欧の寒々しい景色がそれに拍車をかけているので、やっぱそれだけで上質な映画を観ているように錯覚してしまう。

後、やっぱり黒の衣装に身を包んだリスベットと対照的に真っ赤な衣装で際立つ白さが印象的な対となる存在、カミラの存在感が良い。

予告編でも使われた分断される橋のこっち側と向こう側で対峙するシーンとか実に映画的で、カミラの「只者じゃなさ感」が際立っていたし、その後の黒のビニール?による拷問シーンなんかは今作で象徴的にモチーフとして使われる「蜘蛛」を連想させる糸で囚われた獲物を彷彿とさせるので、ちゃんと恐怖感もあった。

そこら辺は流石「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスといったところか。

けど、攻められると案外弱くて、終盤でのリスベットチームの攻勢で味方がバッタバッタ倒れていくとただ逃げおおせて、そのままフェードアウトしちゃうのは格が下がっちゃったかなぁ。

あと、リスベットに見捨てられたというバックボーンとそれに伴う去り際の彼女の独白は人間味を感じさせちゃうので、どうやら原作版だともっと相容れない存在であるカミラの方が個人的にはそのルックスに沿う感じになったんじゃないかなーと思ってしまった。

あと、氷上を滑走するバイクシーンとか終盤のレイキース・スタンフィールド(「サムワン・グレート〜輝く人に〜」)のまさかの超絶スナイパーっぷりなんかは非常に良かったものの、なんつーかアクションの外連味がわりかし抑えめに感じてしまったかなぁ。まぁ、これはその前に映画館で見た「ある作品」が個人的に影響してしまったからということもあるんだけど笑。

同じ「ミレニアム」シリーズだと個人的にはやっぱりフィンチャー版の方が好きで、予告編で感じた期待以上のものはなかったけど、それでも今作の続編が出たら、やっぱり観てみたいかなぁとは思えるくらいのクライムムービーでした。
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