sako

パレードのsakoのネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

登場人物全員、とにかく演技がうまい。うますぎて、はじめはドキュメンタリーを観ているような気分になる。
強い個性の人も、熱い青春ドラマもなく、淡々とすすむ彼らの生活の様子は、とてもリアルだ。
それがサトルの登場により、一気に人間ドラマの雰囲気を帯び、物語が加速する。

この明らかに「普通」でない少年は何者なのか?過去に何があったのか?
それまでなんの疑問もなく、赤の他人とルームシェアをしていた彼らが、初めて同居人に疑いの眼差しを向け、探りはじめる。
その中で、彼ら自身が抱えている、それぞれの問題やトラウマも徐々に明らかにされていく。
「普通」に見えた彼らも闇を抱えていて、それでも平然を装って生活しているその姿はあまりにもリアルで、思わず共感し、応援したくなってしまう。
そして、彼らが自らの闇と対面し、乗り越え、成長することを願ってしまう。

だが、終盤の急展開で、これが単なる人間ドラマではないことに気づかされる。

自分が「普通」だと思っている人が、「普通」だとは限らない。
自分の見えてる世界が、相手の見えてる世界だとは限らない。

この映画はそれを、頭をレンチで殴られるような衝撃をもって教えてくれる。
sako

sako