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暴動島根刑務所のkuuのレビュー・感想・評価

暴動島根刑務所(1975年製作の映画)
3.7
『暴動島根刑務所』
製作年 1975年。上映時間 95分
“刑務所”シリーズ二作目。
刑務所に服役する囚人たちを主人公に、社会から隔絶された人間たちの生きざまを描く。
脚本は『脱獄広島殺人囚』の野上龍雄、監督も同作の中島貞夫、撮影は増田敏雄がそれぞれ担当。

昭和23年(1948年)に闇屋の沢本保は山口県徳山市(現在の周南市)で暴力団の幹部を殺害した。
沢本は逮捕され9年の刑を云い渡され、島根刑務所に収監された。
吉成虎雄は沢本から夕食を取り上げようとしたことを諫めた無期懲役の皆川喜一に喫煙の罪を着せ独房に入れた。
怒った沢本は吉成を撲殺して懲罰房に入った。
その後3年の刑をプラスされ、所長官舎に使役に行ったところで隙を狙って脱獄した。
しかし川で溺れる少年を助け、人命救助で表彰されたところ、警察所長に身元を見破られ島根刑務所に逆戻り。
今度は囚人仲間を煽動し、日本の刑務所始まって以来の大暴動を巻き起こす。

実際、島根刑務所って名称の刑務所はない、正式名称は、松江刑務所だそうだ。
監督は、ここをモデル何故にしたんやろか。
ふと思いつつ、鑑賞。
松方の弘樹アニキがプリズン・ブレイカーを演じ、本人の牧歌的なナレーションで進行する
『脱獄広島死刑囚』
に続く、シリーズ第二作やそうや。
広島編も観なきゃ。
共に暮らしたことのある街やし。
今回は刑務所の収容者の待遇改善要求に端を発した暴動事件がメインフレーム。
刑務所暴動って遠い過去のようだけど、2007年に徳島刑務所で実際おこってる。
徳島刑務所医務課長が、服役している収容者に対し虐待を行ないよったらしい(これは暴動に立ち会った人から聞いた)。
虐待は懲役囚の肛門に対する変態虐待で、収容者が身体不調で診察を願い出っと、なぜか身体ではなくズボンとパンツを脱ぐように云いよって肛門に指を入れグリグリやっとったみたい。
そんなこと尾首もださないメディア陣。
虐待の対象とされよったんは1度でも懲罰を受けると仮釈放の資格が極めて薄くっちゃう無期懲役囚や、懲罰房に行きたない病弱な老人に対して行なってるイジメやったそうな。
診察内容に文句をいやぁ、たちまち特別警備隊が来て、抗弁(口答え)やと懲罰房に連れていかれた。
肛門虐待以外にも様々な虐待があったのに腹を据えかねた収容者が立ち上がったそうな。
首謀者の刑罰の追加は5年位と聞くが、関係刑務官の罰則は微々たるものやった。
話が逸れたが、戦後、街の愚連隊やった沢本・松方弘樹はやくざモンをぶち殺しあっさりパクられて懲役刑になって島根刑務所へGO。
生意気な先輩囚人の吉成役に金子信夫がまた、懐かしいし、味を添えてる。
映画の見所は、東映城のプリンスって云われただけあるなぁって(タイムリーでは知りませんが)、松方弘樹と北大路欣也アニキのタイマン対決。
アニマル知能程度と行動力の松方に対し、恋女房とカタギ生活を求める理性的の北大路欣也の激・激アツやなぁタイマンも迫力あるし。
とは云え、今作品は『脱獄シリーズ』。
餅の論、二人ともそうは問屋が下さへんオチがついちょります。
脱獄に関しても、現実でも昔の話じゃなく、実際、広島刑務所の中国人受刑者が脱獄事件を、2012年1月11日に起こしてる。
理由は今作品にもある、収容者の待遇改善が問題があったらしい。
因みにこの脱獄した人は、脱獄に加え勝手に人の家に入り服を盗み出し着て、飯を勝手に食べたとして、刑罰に二年半が加えられたが、重いか軽いかは。。。
扨、話は戻り、二人の綺羅星のタイマンシーンも面白いですが、脇のほうも目が離せない今作品。室田日出男が出てたり、賀川雪絵と橘真紀は陰を持ちつつ美しいこの時代の脇役美人が花添えてる。
松方たちが網走に移送される際連行職員に風車の弥七と志賀勝でてたりと笑えた。
嗚呼こんなよき時代の映画は今じゃ撮れないやろなぁ。
あっても演技下手なVシネマしかない。。。
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