東映の実録ヤクザ映画路線。
仁義シリーズで成功を収めた深作欣二に対して、一風変わった作風で怪作を撮っていたのが中島貞夫。
市岡、松村、山守、槇原、早川、氏家…
仁義メンバーも数多く登場し、山口や島根が舞台だけに広島弁寄りの言葉が飛び交うのも嬉しい。
雑味に溢れたバイオレンスムービーだが、実にエネルギッシュで痛快。
山口、大阪、島根、そして網走行きの列車で…
ダイナミックで出鱈目な脚本は気づけばバディ物へと七変化。
さあ、これからと見れば…
突っ込みどころは満載。
坂井の鉄っちゃんでも、藤田でも、市岡でもない松方弘樹の一本気な表情が堪らないし、北大路欣也も負けちゃいない。
ドーランだろうがブルックリンの住人のような二人のチョコレート色の顔面。
そこから浮き立つ視線の力強さは破壊力抜群。
松方本人によるナレーションもユーモアとペーソスが感じられ味わい深い。
〜〜〜
釘呑みとブルージーなギター。
芋をたらふく食わせ、芋ごとセーフティーに釘を排泄させる荒技。
シェパードの交尾から生娘へ無理強い。
絞首刑を行う薄暗い一室。
絞首台の周りに鮮血。
なんでも死刑囚は血を撒き散らしながら死んでいくらしく、"ぶら下がったとんがらし"なんだと。
刑務所制圧後の炊き出しと食事。
旺盛な食欲にこちらも元気になる。
刑務所での食事の作法を訥々と諭し、豚を慈しむ田中邦衛の抑制の効き過ぎた怪演。
金子信雄のおそらく筆入れし過ぎた極太の眉。
ちょいとガラの悪い佐藤慶の美声。
映画館のトイレでうんこ漏らすだけの小松方正。